日本の介護制度崩壊の危機 ヘルパーも経営者も「もうやっていけない」

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財務省は介護保険費用の削減案を提案

   収益減が続くなかでも訪問介護の現場がなんとか回ってきたのは、ひとえにヘルパーや事業所の「がまんの賜物」ともいえる。一方で、あまりの賃金の安さに離職する人が後を絶たず人材不足に陥っている。仕事の依頼のある時間が偏っているため、ある程度の人数を集めなければ仕事にならず、「経営難→賃金低下→離職→人手不足」といった負のスパイラルに陥っている。この状況を打開するには介護報酬の引き上げしかないというのが業界の見方だ。介護報酬は09年度に改正されることが決まっているが、厚生労働省は「今の段階では引き上げるとも、引き下げるとも決まっていない」とコメントしている。

   しかし、こんな不穏な動きもある。財務省は08年5月13日、介護保険費用の削減案を財政制度等審議会財政制度分科会で提案した。介護の必要が少ない軽度者を給付対象外にした場合は年間約2兆9000億円、自己負担を1割から2割に引き上げた場合には約2300億円抑制できるとした。提案された3案のいずれも、事実上「軽度者」を切り捨てるものになっている。

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