日本の介護制度崩壊の危機 ヘルパーも経営者も「もうやっていけない」

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   日本の介護制度は今や崩壊の危機に瀕している。低賃金に苦しむヘルパー。離職者の続出。そして、そのヘルパーを雇う訪問介護事業者の台所も火の車だ。中小では経営が成り立たず、事業主が自らの給与を削ってしのいでいる、といった例も少なくない。国は何か有効な手を打てるのか。

介護報酬引き下げが響く

「スタッフの給料を支払うと、私の手取りは従業員の半分以下の月額8万5000円だ」

   こう明かすのは介護ヘルパー事業を営む62歳の女性。2008年7月15日放送のTBS系「みのもんたの朝ズバッ!」の取材に応じた。自身もヘルパーで、より良い環境で働ける職場を目指して、3年前に事業所を立ち上げた。しかし、赤字続きで経営難に陥り、「理想だけではやっていけない」と嘆く。所属する15人のスタッフの給与もまかなえず、自らの給与を削っている。「以前勤めていた会社の退職金も切り崩して使ってきたが、もう底をついた」と話す。

   こうした中小の訪問介護事業者の惨状は全国では珍しくなく、年々事業所数が減っている。独立行政法人福祉医療機構によると、08年6月30日時点では、2万6905件で前年同日に比べて500件近く減った。全国ホームヘルパー協議会の担当者は、経営難に陥っている要因の1つとして、事業所に支払われる「介護報酬」が06年の介護保険制度の改正で引き下げられたことを挙げる。介護労働安定センターが08年7月14日に発表した07年度の介護労働実態調査でも、6割以上の事業所が運営の問題点に介護報酬の不十分さを挙げている。

   さらに、改正では介護認定の基準を厳しくした。例えば、これまで「要介護」に指定されていた人が介護の必要性が低い「要支援」になり、受けられるサービスが制限される、というケースだ。サービスの利用回数と時間の制限も設けられて、ますます利用機会が減った。もっとも、制限がかけられたのは介護の必要性が低い「軽度者」で、中~重度者についてはサービスを受けやすいようになった。ところが訪問介護の利用者の6割は軽度者で、結果的に事業所にとって大きな収入減につながった。

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