北京五輪観戦ツアーは不振なのか好調なのか。朝日新聞、毎日新聞、産経新聞が2008年7月17日に報道した内容がバラバラで、話題になっている。「ツアーが全く売れず旅行会社が頭を抱えている」という記事もあれば、「アテネより好調」「完売」といった景気のいいものもある。いったいどれが本当なのか。
不調だと報じたのが朝日と毎日
五輪観戦ツアーは人気?不人気?「goo ニュース畑」でも話題だ
北京五輪ツアーが好調と報じたのは産経新聞。「北京五輪観戦ツアー『4日間で128万円』即日完売」という見出しを掲げ、アテネ五輪前よりもツアーの予約状況はかなり好調で、北京は日本に近く体力的な負担も少ないため、特に団塊の世代に人気だ、と報じている。
不調だと報じているのが朝日新聞と毎日新聞だ。朝日新聞は毒ギョーザ事件や、四川大地震などのマイナス要因が影響し、ツアーの売れ行きが伸び悩んでいて、最大10万円の値引きに踏み切った旅行会社も登場したほか、08年6月下旬に売り出した卓球やバドミントンなどには「申し込みが全くなかった」という旅行代理店担当者の声も紹介している。
毎日新聞も同日の夕刊で、「不人気、北京 五輪観戦ツアー、売れ行き伸びず」という見出しを掲載。不人気の理由に、確実に販売が見込める「おいしいチケット」の日本への割り当てが少ない、ことなどもあげている。
これほど報道内容に差が出ているのも珍しい。インターネットの情報交換サイト「goo ニュース畑」でも話題になっていて、08年7月17日に、
「あなたは朝日新聞と産経新聞のどちらを信じますか?両紙が北京五輪ツアーの売れ行きで正反対の記事掲載!!」
という質問が出ている。
「新聞自体を信じてはいませんがどちらがマシか?と聞かれれば産経のほうがマシ」
「北京五輪にはあまり魅力を感じてないので、どちらかというと朝日の記事を信じてしまいます」
「単純に、ツアーの日程によって差が出ているという話でしょ」
など回答もさまざまだ。
「北京五輪ツアーは概ね好調」が最大公約数か
J-CASTニュースが旅行会社各社に取材したところ、「北京五輪ツアーは概ね好調」ということだった。JTB広報によれば、アテネ五輪と比較し予約数は倍を超えていて、1万人募集したうち3分の2が既に埋まっている。開催地がアテネに比べ日本に近いため、宿泊数と代金が半分で済むといった気軽さがあるからなのだという。ANAセールスは08年に初めて五輪ツアーに参入。開会式チケットを含めた4日間のツアー128万円の商品が、即日完売。ツアー客獲得目標を2000人としたが70%強埋まっている状態という。
近畿日本ツーリストも、6千人を目標にしていて、現在売れているのは約4千人分。同社広報は、
「食品問題や地震があったことを考慮すれば、充分健闘していると言えるのではないか」
と話す。売れ残り部分については、各社ともに、「まだ日本代表選手が全て決定していない」ため、代表選手が決まるごとに、ツアーの申し込みが増えるはず、と予想している。
それではなぜ、正反対の記事が出てしまうのだろうか。人気を集める競技ジャンルや、日程をにらんで、ツアー会社がそれぞれチケットを発注するものの、希望通りの枚数が来ないこともあるのだという。
JTB広報は
「人気の観戦ツアーを組めたかどうかが売り上げに影響しますから、報道機関がどの会社を取材したのか、ということも影響するかもしれません」
と話している。