公務員に「出世拒否」が増殖 「責任イヤ」「趣味を優先」

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「仕事もお金も、そこそこ、ほどほど」

   なぜ、公務員の出世意欲が減退しているのか。

   横浜市が職員にアンケートしたところ、昇任を嫌う理由が3つ挙がった。1つは、対外的に責任のある係長以上は、負担が重くなるから。2つ目は、趣味などの私生活と両立できない、3つ目は、仕事がきついのにそれに見合った収入が得られない、という点があった。

   名古屋市でも、同様な理由からだ。同市人事委の任用係長は、「個々人の事情もあると思いますが、責任を持つのがイヤという声をちらほらと聞いています。給料よりも、自分のプライベートを優先する傾向もあります。理由ですか?社会全体がそんなふうなのかなとも思っています」と話す。

   社会経済生産性本部の東狐貴一主任研究員は、横浜、名古屋に限らず、公務員ではよく見られる傾向だと指摘する。

「公務員の賃金は、成果や能力でなく、勤続年数で上がっていきます。管理職で大変な思いをするより、一般職のままでいいという人が多いようです」

   特に、女性にその傾向が強いという。「管理職だと、子どもを迎えにいけない、介護ができない、と試験を受けない女性が増えていますね」。

   社会的背景については、東狐主任研究員はこう指摘する。

「団塊世代の親は裕福で、収入は自分で使えます。親元から通っている人も多いので、自分で家を買う必要もなく、ローンでもない限り動機付けがありません。また、趣味を大切にし、自分は自分で生きていくという人が多い。仕事もお金も、そこそこ、ほどほどでいいとして、職場同期の間で競争原理が働きにくくなっています」

   ちなみに、ソフトバンク・ヒューマンキャピタルが新社会人に08年4月行った意識調査の結果によると、仕事に求めていることとして、「やりがい」「給与」が70%を超えたものの、「出世」は10項目で最下位の12.8%だった。ヤフーのQ&Aサイト「知恵袋」でも、「出世や昇進したい動機がわからん」といった質問がいくつか上がっている。

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