消費者は魚介類に対して根強い「割高感」を持っている
08年5月末には休漁の方針を決めていた遠洋マグロ漁業の業界団体「日本かつお・まぐろ漁業協同組合」(日かつ漁協、東京都江東区)も、当時J-CASTニュースの取材に
「量販店からすれば『値上げ凍結宣言!』といったキャッチフレーズでの売り方はあり得るのでしょうが、『採算割れでも価格を下げろ』というのでは、もう漁業者は生活できません」
と、小売側の一方的な価格形成力の強さを嘆いていた。
もっとも、今回の休漁措置で、消費者を刺激することは避けたい様子だ。この背景には、消費者が魚介類に対して根強い「割高感」を持っていることがある。農林水産省が07年8月から9月にかけて、約1000人を対象に行ったモニター調査では「日頃の食事で魚介料理を食べる機会を増やすために、生産・加工・流通現場において必要だと思う取組」を複数回答で聞いたところ、「魚介類の価格が安くなる」と答えたのが66%で最も多かった。さらに、「魚介類に関して感じること」を聞いた設問(複数回答)では、最も多い回答は「価格が高い」(55%)で、やはり価格に消費者の関心が集まっている様子だ。
全漁連でもその点は気にしているようで、
「消費者に対して価格を吊り上げるですとか、需給バランスを動かそうといった意図は毛頭ありません。今回の休漁は、たった1日。台風が来ると、2~3日漁に出られないこともあります」
と、休漁が魚の価格に与える影響が小さいことを強調。価格のちょっとした動きに敏感な消費者が「魚介類離れ」を起こさないように懸命な様子だった。