格闘家の秋山成勲選手が、もう一つの母国・韓国でタレントとして大ブレークしている。バラード調の歌が着メロランキングで韓国1位。「映画化したいスポーツ選手」のアンケートではフィギュアスケートのキム・ヨナ選手を抑え堂々の1位になった。今や「韓国の大スター」と報じるメディアもあり、秋山選手は現在の自分を「マイケル・ジャクソンですよ」などと話している。
韓国女性は「欲望の対象」として秋山を消費
韓国でのタレント活動が秋山選手のブログでも紹介されている
秋山選手の韓国での人気の様子が、2008年7月15日深夜、TBS系「格闘王」で放送された。秋山選手といえば、柔道の国際大会で何度も優勝。鳴り物入りでプロ格闘家になったが、06年大晦日、桜庭和志選手との戦いで全身にクリームを塗る反則を犯し、無期限出場停止処分を受けた。以降、「ヌルヌル秋山」などと呼ばれ、日本ではダーティーなイメージがまとわり付いている。
そんな秋山選手が韓国で執拗なサイン攻めに合う姿が「格闘王」で流された。人気のきっかけは、たまたま出演した08年3月のMBCテレビバラエティー「黄金漁場」。ここで歌を披露したところ、音楽関係者に認められ、「すぐにCDを出してくれないか」ということになった。その曲が韓国の着メロランキングで1位。08年6月7日には韓国の「紅白歌合戦」と称されるイベントに招かれ、約6万人の前で歌を披露した。CMも自動車、ビール、牛乳の3社と契約。ファッションショーにも引っ張りだこ、というマルチな活躍ぶりなのだ。番組でのインタビューで、秋山選手は現在の気分を、
「いやぁ、マイケル・ジャクソンですよ。はい」
と答えている。
韓国メディアはタレントとしての成功を大きく報じている。朝鮮日報の電子版(08年6月15日)には、「秋山成勲、韓国人女性のハートをキャッチ CMにファッションモデルに大ブレーク中」という見出しを付けて掲載。記事によると、ファンの約70%は 20‐30代の女性で、
「最近急増している熱狂的なファンは、秋山の格闘技の試合や実力にはあまり関心がない。つまり、男性がグラビアアイドルを見るように、女性は秋山を『欲望の対象』として消費しているのだ」
と書いている。
日本では消えぬヒールなイメージ
はじめは「宇宙人」のような不思議な存在で、やがて、ファンは秋山が在日韓国人だったことや、波乱に満ちた格闘技人生などを知っていく。秋山の男っぽい強烈な容姿に、これまでの人生ストーリーが重なったことで、人気に拍車がかかったのだという。
韓国の映画ポータルサイト「マックスムービー」が08年5月に実施したインターネットアンケート「映画化されればと思うスポーツ選手は?」では、秋山選手が「韓国国民の妹」と称されるキム・ヨナ選手を大きく引き離し第1位にもなっている。
秋山選手は08年7月21日の格闘技イベント「DREAM」の試合に出場する。
しかし、日本ではと言うと、06年大晦日の試合の印象を未だに引きずっている。「格闘王」での街頭インタビューでは、こんな見方が多かった。
「ヒールなイメージ」
「クリーム塗っちゃった、みたいな」
「彼を潰すのは誰かな、というのが楽しみ」