携帯サイトでのPRを積極的に検討
エルメスジャポンの広報担当者は、嘱託社員の女性が言及した業績悪化について、「協議を継続中ですので、内容を控えさせてほしい」と述べるにとどまった。嘱託契約は販売苦戦が理由なのかについてもコメントを避け、「初めから派遣など正社員以外の雇用形態があり、それは一般企業と同じです」とだけ話している。
日本での売り上げについては、「目立って前年比より悪化という報道にはなっていないと思います」とした。バーキンについても、「明確なお答えはしかねますが、お客さまには好評です」。ユーロ高による値上げについては、「価格改定の大きな要因」としながらも、「人件費、材料費などでの改定もあり、ユーロ高のみではありません」としている。
高級ブランドの中には、フェラガモのように値下げに踏み切るところも出ている。エルメスではどうかと聞くと、広報担当者は、バーゲンセールはしておらず、予定もないとした。その理由として、「昨日まで定価で買っていただいたお客さまに不誠実です。高コストであり、半額にできるようなものづくりはしておらず、弊社のポリシーとは合致しません」と説明する。
さらに、高級ブランドの大衆化が進み、新聞やテレビに広告を出したシャネルや、携帯サイトをオープンしたグッチなどの例も出ている。これに対して、エルメスの広報担当者は、「新聞には広告を出していますが、メッセージを届けるのが目的で、大衆化ということではありません。テレビは、広告が高いので出しておらず、ターゲット層を絞れる雑誌を優先しています」と話す。
エルメスでは、日本で携帯サイトやルイ・ヴィトンのようなネット通販もしていない。しかし、パリの本社では、eコマース市場に進出していることから、日本でも積極的に検討していく方針を明らかにした。特に、「携帯サイトは、検討しなければいけない重要なチャンネル」だとしている。そのうえで、「大衆化という言葉は適切でないと思いますが、これまで弊社商品を利用していなかった方にも利用してほしい」と話している。
エルメスは、馬具工房を母体に1837年に創業。創業者一家の下で厳選した素材の使用や徹底した品質管理によって、超高級ブランドのイメージを確立している。