富山の「薬売り」がピンチ 新制度でコンビニでも薬販売が可能に

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   江戸時代から続く富山の「薬売り」が危機を迎えている。ドラッグストアに押され、利用者は減りつつある。販売員の高齢化も進んでいる。そこへ、2009年度からコンビニなど薬局以外でも医薬品が販売できるように制度が変わる。打撃は大きいはずだ。お年寄りには郷愁をさそう「薬売り」は生き残れるのだろうか。

出張が多く、若い人には敬遠される

   「置き薬」の名で全国に知られる薬の訪問販売は富山県生まれで、300年以上の歴史がある。風邪薬、胃腸薬や絆創膏といった常備薬の入った薬箱を家庭に置いてもらい、業者が定期的に訪れて使った分の代金を回収し商品を補充するという仕組みだ。使った分を後で支払うという販売手法は「先用後利」と呼ばれ、最近ではオフィスに菓子を設置する「置き菓子」にも応用されている。

   富山県くすり政策課によると、2007年12月31日現在で1634人の業者が登録されている。前年に比べて60人以上減った。残る業者も3分の2が60歳代と、高齢化が進む。配置薬業者で組織する富山県薬業連合会の担当者は高齢化に加えて、利用者が減っていると指摘する。品揃えが豊富なドラッグストアを利用する人が増えたせいだ。最近では郊外にも大型店が建ち、車で行ってまとめ買いができるようになった。

   「若い世代の利用が遠ざかっている」と嘆くのは、富山県で50年以上にわたって配置薬業を営む吉田昌雄さん(68歳)だ。業者といっても実際は一人で働く例が多い。北海道、栃木、富山を中心に売り歩いていて、得意先は1500軒にも上る。1年に1軒あたり1~3回訪問するため、8~10か月は自宅に戻らないという。「出張が多く、若い人に受け入れられにくい」ので、後継者不足も深刻だ。

   一方、富山で配置薬業をスタートした富士薬品(本社・埼玉県)の場合、配置薬の担当者は2500人もいる。ただ、「昔は配置薬が主だったが、他事業の方が割合は増えている」というように、ドラッグストアの運営や薬の製造が柱になっているようだ。

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