国立大学協会など大学3団体が、日本経団連など137の企業団体に対し「青田買いの是正」を求める要望書を2008年7月9日に提出した。企業の中には大学3年の秋に「内内定」を出すところまであり、早期の採用活動で学業がおろそかになったり、採用が早く決まりすぎて結果として離職率が高まっていたり、といった理由だ。
「今が大学生活で一番楽しい時期だから、好きなことをやれって言われるんですよ」
都内の大学に通う2年生の男子大学生はそう話した。3年になれば就職活動が始まり、夏休みにはインターン(企業での職業体験)もある。早い学生は秋に「内内定」がもらえ、4年の春に多くの学生の就職が決まる。「青田買い」のスケジュールに従って今の大学生は大学生活を送っている。
企業による学生の「青田買い」は今に始まったことではないが、企業側と大学側が新卒者の採用日程を申し合わせる「就職協定」が97年に廃止されて以降、年々就活の時期が早まるようになっていった。98年には当時の日経連が「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」を公表し、「青田買い」を抑制しようしたが、団体に属さない外資系企業などが就活時期を早めた結果、現在のような状況になってしまったようだ。
就活が早まった結果起きた悪影響
大学生は3年になると就職活動に追われている(写真はイメージ)
国立大学協会はJ-CASTニュースに対し、就活が早まった結果起こったことをこう指摘する。早めに内定をもらった学生は安心して講義に出なくなる。内定がもらえない学生に至っては、3年から卒業まで長期の就活をしなければならない。つまり、学業に相当の支障が出てしまっている、というのだ。それ以上に問題視しているのが就職のミスマッチ。
「専門の学業を学び始めた3年の途中で就活が始まり内定が出たりします。企業は『優秀な学生が欲しい』といいますが、何が優秀なのかまだわからない時期。そのためミスマッチが起き、離職率が高まる原因にもなっているんです」
内閣府の「平成19年版 青少年白書」を見ると、03年3月に大学を卒業した人の離職率は1年目15.3%,2 年目11.0%、3年目9.4%となっていて、就職してから3年で計35.7%が離職している。これが「青田買い」の影響というわけだ。
日本経団連も07年10月16日、09年春卒業予定の大学3年生について選考活動の早期開始を自粛するよう企業に申し入れている。