インターネット上の犯行予告が止まらない。逮捕に至るケースも続出している。犯行予告の書き込み情報を収集しているサイト「予告.in」でも、1日で最大50件ほどの犯行予告の情報提供があり、サイト管理人は「いつまで続くのか。夏休みが来たらもっと増えるのではないか」と懸念を隠さない。一方で、爆笑問題・太田光さんに対する「殺害予告」が書き込まれ、通報されるなどタレントをターゲットにするケースまで出てきた。
「一時的なものだと思っていたが、いっこうに止まない」
2ちゃんねるでは太田光さんに対する「殺害予告」が書き込まれた
「犯行予告は(秋葉原連続殺人事件後の)一時的なものだと思っていたが、いっこうに止まない。いつまで続くのかという感じです。これから夏休みが来たら怖いな、と。暇になると犯行予告が増える傾向があるんです」
と話すのは「予告.in」の管理人・矢野さとるさん。矢野さんによれば、「予告.in」への犯行予告の情報提供は1日30~50件ほど。このうち緊急性を要する、と判断して警察に通報するのは1日平均3件、累計で約50件に上る。ネット上で犯行予告が行われるのは、平日だと仕事や学校が終わる午後7時過ぎから深夜に多い。土日ともなると増え、集中的に犯行予告が書き込まれるケースもある。つまり、ほとんどが暇な時間になされる「いたずら」というのが実態のようだが、犯罪には変わりがない。
2008年7月8日の昼と夕方の2度にわたって、巨大掲示版「2ちゃんねる」には、
「爆笑問題の太田光を殺します 確実に殺します 必ずやります 爆笑問題の太田光を包丁で刺し殺し爆笑問題を解散させます」
という書き込みがされた。いずれもJ-CASTテレビウォッチが7月7日に報じた爆笑問題・太田光さんのテレビ番組での発言を扱った記事を出典にした2ちゃんねるのスレッドに書き込まれたもの。インターネット掲示板のあり方について扱った内容だが、何の脈絡もなく悪質な殺害予告が同一人物と思われる者によって2度書き込まれた。警察にはすでに通報され、矢野さんは太田さんの所属事務所に報告。被害届を出すことなどを勧めたという。J-CASTニュースは所属事務所に取材を試みたが、「担当者は終日外出していて分からない」とのことだった。
携帯電話の掲示板に歌手・平井堅さん殺害予告
7月6日には、マリンメッセ福岡(福岡市博多区)で行われた歌手・平井堅さんのコンサート会場にナイフを持ち込んだとして、銃刀法違反の現行犯で自称介護福祉士、森兼行容疑者(35)が逮捕された。この4日前、携帯電話の掲示板サイトに殺害予告が書き込まれ、「予告.in」にもその情報が寄せられた。矢野さんは書き込みから約3時間後に警察に通報。この男と書き込みをした人物が同一人物であるかは今のところ分からないが、警察が厳戒態勢を強いていたこともあって、結果的に犯罪予防に一役買ったことになる。
なかには、犯行予告したあとに、「予告.in」のなかで取り上げられ、犯人が警察に自首したケースもあるという。
「逮捕者を増やすのが目的ではない。少しでも犯罪を未然に防げたらいいなと思っている」
と矢野さんは話している。