イチロー選手が所属するシアトルマリナーズの成績が低迷し、スター選手であるイチロー選手に矛先を向ける米メディアも出てきた。「チーム内での協調性がない」などと指摘するものが多いが、その中には、「トレードすべきだ」とまで主張する雑誌も登場、「イチローバッシング」の様相さえ呈しつつある。そんな中でも、8年連続のオールスターゲーム出場を果たすなど、「プレーで見せる」イチロー選手の姿勢へのファンの支持は揺るぎがないようにも見える。
「自分たちのことしか考えていない」
イチロー選手のトレードを主張するスポーツ雑誌も現れた
マリナーズはゼネラルマネージャーと監督の交代後も、アメリカンリーグ最下位にあえいでいる。イチロー選手自身も、7月初めにようやく打率3割を回復するという具合で、必ずしも本調子とは言えない状態が続いてきた。
そんな中、イチロー選手を批判するとも取れる米メディアの報道が相次いでいる。
例えば、6月20日には、ワシントン州タコマの地元紙「ニューズ・トリビューン」が、マリナーズのコーチによる、こんな声を報じているのだ。
「このチームには、チームを引っ張っていくべき選手がいる。セクソン、ベルトレ、ベダード…、イチローもそうだ。でも彼らは、自分たちのことしか考えていない」
記事中では、これらの選手が自主練習などに出てこない結果、応援に来ているファンに誤ったメッセージを送ることになる、などと批判している。この記事では、かろうじてイチロー選手は「主犯」だとはされていないが、もっと直接的にイチロー選手を批判している報道もある。
米国の有名スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」(電子版)は08年6月25日、「マリナーズはイチローのトレードを考えるべき」との記事を掲載したのだ。今回は、イチロー選手のプレーの姿勢に批判の矛先が向けられた。
プレーよりもスタイルの方に興味を持っている?
「マリナーズが本当に事態を打開しようと考えているのならば、イチローをトレードに出すことを真剣に考えるべきだ。イチローが『強肩・俊足・打力』という、野球にとっての三種の神器を備えているとも言える国際的な英雄だとしても、だ。彼の短所は、時々スピード感なくプレーしたり、プレーの内実よりもスタイルの方に興味を持っているように見えることだ」
さらに、具体例を出しながら、イチロー選手がチームの足を引っ張っている可能性すら指摘している。
「イチローは月曜日(6月23日)の対メッツ戦で先頭打者だったが、凡フライで1塁まで(全力疾走せずに)ジョギングしていた。ゲーム後半にも、同じことをしていた。マリナーズは(3試合中)2勝したものの、イチローがチームの足を引っ張ったのかも知れない。彼の唯我独尊とも言える態度が原因である可能性すらある」
このような批判を浴びているイチロー選手だが、オールスターゲーム8年連続の出場を決めている。
記者会見では、個人、チームともに成績がふるわないにもかかわらず、ファンからの支持を集めたことについて
「まぁ、『ちゃんとやれよ!』って言われてるんでしょうね」
と話している。
悪評をことごとくはねかえしてみせたのもイチロー選手の特徴だ。日米通算3000安打まであと17本に迫るなか、今後の米マスコミの論調に注目が集まりそうだ。