三井住友銀行は英銀大手バークレイズに5億ポンド(約1060億円)を出資する。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題で多額の損失を出したバークレイズが2008年7月上旬に実施する45億ポンドの増資の一部を引き受ける。
1月に米証券大手メリルリンチに出資したみずほコーポレート銀行に次ぐもので、米欧金融機関への資本支援で海外事業強化を狙う大手邦銀の戦略が鮮明となった。メリルへの出資をめぐって、みずほに敗れたとされる三菱東京UFJ銀行の出方が今後の焦点だ。
国内での収益が頭打ちで、海外に目が行く
三菱東京UFJ銀行の出方に注目が集まる
三井住友とバークレイズは業務面でも提携する。バークレイズは、英国の植民地だったインドや中東、アフリカで顧客基盤と店舗網が充実し、富裕層ビジネスにも強い。三井住友はアジアに基盤があるため、両行が地域や商品を補完する提携を進める意向だ。
三井住友幹部によると、両行は今年1月から業務提携の協議を開始した。当初は資本関係を結ぶ予定はなかったが、その後にバークレイズがサブプライム問題に伴う資本不足を解消するため、増資に踏み切り、三井住友の出資が決まった。資本提携に発展したことについて、三井住友幹部は「トップ同士の信頼関係が大きかった」と説明。三井住友は不良債権問題で苦しんでいた03年、米ゴールドマン・サックスから出資を受けたが、今回は立場が逆転した形だ。
大手邦銀は国内での収益が頭打ちで、海外業務を成長戦略の柱に掲げている。90年代のバブル崩壊で海外業務の縮小を余儀なくされたが、サブプライム問題では邦銀は欧米に比べると損失が少ない。みずほに続く三井住友の動きに対し、渡辺喜美金融担当相は「我が国が金融機関も含めて攻めの姿勢に転換できるチャンスだ」と評価した。