コーヒー、軽食も有料 格安航空「エアアジア」日本上陸

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   東南アジアで勢力を拡大している格安航空会社(低コスト航空、LCC)の日本進出をめぐるうごきが本格化してきた。現在日本に就航しているLCCは1社だけだが、全日空もアジアでLCCを設立することを表明しているほか、アジア最大のLCC「エアアジア」のグループ会社も、近く日本に参入する意向を示している。LCCは日本の消費者に受け入れられるのか。

予約はネット経由、座席はすべて自由席

全日空もLCCの設立を表明している
全日空もLCCの設立を表明している

   東南アジアでは、もはや遠い存在ではなくなりつつあるLCCだが、その最大手がマレーシアに本社を置く「エアアジア」だ。同社は01年に運航を開始し、現在では内外に約90路線を持っている。最大の特徴は、これまでの航空会社の半額程度という、運賃の安さだ。

   もちろん、経費を抑えるための様々な工夫がされている。故障がしにくい新造機を機種数も絞って導入し、整備コストを抑えたほか、空港の様子も「普通の」空港とは、かなり違う。

   エアアジアがハブ空港としているクアラルンプールの空港で同社が使用するのは、「格安航空専用ターミナル」だ。他社が使う豪華な国際線ターミナルから、車で10分ほど離れたところにある。ボーディングブリッジはなく、乗客は航空機のそばまで歩き、タラップを上がって乗り込む。

   予約はネット経由で行い、座席は自由席で「早い者勝ち」。空港に到着してから再び出発するまでの時間を短縮するためだ。さらに、機内でもこの「工夫」は続き、通常なら無料でもらえるコーヒーや軽食も、有料になっている。

   同社は、これまでマレーシア国内と、タイ・インドネシアなどを結ぶ近距離路線を中心に運行していたが、07年には長距離路線への進出を表明。07年7月には、長距離便専門の会社「エアアジアX」を設立した。現在では、クアラルンプールと中国・杭州、オーストラリア・ゴールドコーストの2都市を結んでいる。現在はA330機を1機のみ保有しているが、日本のオリックスが10%を出資するなどした結果、同機を25機発注しているところだ。

   そして、次の有力な就航地が日本だとされているのだ。朝日新聞日本経済新聞によると、09年にも日本に就航する見通しで、同社のアズラン・オスマン-ラニCEO(最高経営責任者)は、週刊ダイヤモンド(08年6月28日号)のインタビューに対して

「25機を受領すれば、日本で北部、中央部、南部の3都市に就航することも可能だ。茨城はシンプル、スモール、チープな空港で、アドバンテージを持っている。北海道とか北はスキーができて、興味がある」

と、日本市場への意気込みを語っている。

日本では2010年開港の茨城空港が候補

   もっとも、LCCの「負の面」を伝える報道もいくつかある。例えば、「日経トレンディ」08年8月号では、クアラルンプール-ゴールドコースト線を往復してみての搭乗ルポを掲載。これまでの「常識」では考えにくい実態を紹介している。

   まず、出発時刻が過ぎても遅延のアナウンスがなかった上、結局搭乗が始まったのは40分遅れだったという。そして、機内の様子をこう綴っている。

「機内で気になったのは、シートポケットに前回搭乗した乗客の搭乗券やティッシュが残っていた点。空港での待機時間が短く、清掃時間が少ないため、隠れた部分の清掃がおざなりなのが透けて見える」

   客室乗務員の対応は全般的に親切だったというが、こうみていくと、日本の消費者に受け入れられるか不透明さが残るのは事実だ。

   また、前出のインタビューでも出てきたように、日本での就航先の候補のひとつが2010年開港の茨城空港だ。他の候補としては、静岡(09年開港)、中部、福岡、新千歳などが取りざたされている。茨城空港は、国内大手2社からはそっぽを向かれている一方、ターミナルビルをLCC仕様にして「首都園に近い」「ローコスト」を売りに「エアアジア X」誘致を試みており、「定期路線ゼロ」を回避しようと懸命だ。もっとも、この空港は東京都心から車で2時間はかかるという立地条件だ。

   海外では、郊外の空港がLCC専用に利用されることは決して珍しくないが、日本でもこのビジネスモデルが通用するかどうかの試金石となりそうだ。

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