「性格難あり」「戦犯」「終わってる」。こんなアニメーターを評価した一覧表がインターネット上に出回り騒ぎになっている。このファイルにはアニメプロダクション会社の名前がつけられていたが、同社は「社内管理情報ファイルが流出したものではない」と流出を全面否定。同社社長によれば、ファイルをアップした人物はいまだ特定されておらず「調査中」とのことだ。一方で、「弁護士と相談して今後の対応を協議している」としており、法的な措置も辞さない構えだ。
「第三者が誹謗中傷等を目的として作成・公開したもの」
アニメプロダクション会社は「「社内管理情報ファイルが流出したものではない」と発表
アニメプロダクション「ボンズ(bones)」の名前がついたファイルが2008年6月下旬からインターネット上に出回り、騒動になっている。このファイルはアニメーターの名前とともに、連絡先や評価が記載されているというもの。とくにアニメーターについての評価の欄では、「性格難あり」「戦犯」「終わってる」「扱いづらい」「電話に出ない」など、アニメーターに対する厳しい評価のコメントが続いている。なかには「○氏元カノ」「○○さんとデキてる」(編注:○は伏せ字)など、プライバシーに深く関わる記述まであったりする、という生々しいものだ。
しかし、ボンズは2008年7月6日に「スタッフの皆様の情報データアップロードに関するお知らせ」と題したコメントを同社ホームページで発表。それによれば、同社の管理情報であるかのような体裁の個人情報が含まれたエクセルファイルがネット上にアップされているが、同社でこれと同じフォーマットで管理している情報は存在しない、としたうえで、
「同ファイル内のスタッフの属性等に関する記述に関しましても、弊社内の資料でなく、第三者が誹謗中傷等を目的として作成・公開したものと判断致しております」
と述べている。
「リストに記載されたスタッフの皆様、当社および当社のスタッフの信用・名誉等を毀損する悪質な行為であり、現在弊社において行為者の特定の為の調査を行っているところです。行為者の特定が出来次第、厳正な対応を行う予定でおります」
と、「悪質な行為」に対し、厳しい姿勢で対処するとの方針を明らかにしている。
アニメーターに状況説明のための「お詫び」の手紙
同社の南雅彦社長はJ-CASTニュースに対して「当然このような評価は行っていないし、(アップされた文書はアニメーターの)スタッフを攻撃する内容がほとんどを占めている。弁護士と相談して今後の対応を相談している」と話しており、法的措置も視野に入れているとの考えを明らかにした。
しかし、不透明な部分もある。ネット上にアップしたファイルには、一部で連絡先など正しい情報も混じっている。社内からウィルス感染などで流出したものではないことが確認されたものの、こうした「虚偽」と思われるファイルをアップした人物については、「調査中」としている。
一方で、この一覧表に名前が挙がっているあるアニメーターは08年7月5日付の自身のブログで「帰宅すると某社からお手紙・・・ん?最近付き合い無いけど・・・あ、個人情報流失のお詫び?あらら」と、ある会社から情報流出についてお詫びの通知が届いたことを明かしている。
「ほー、評価Cかぁ。異存は御座いませんが、上手く行かなかったのは制作とだと思うんですけどね。身内の制作の評価は流失してませんかね?お仕事をさせていただく予定は全くないので良いのですが住所や電話番号は正直困るなぁ」
確かに流出したとされるファイルには、このアニメーターについて「C」との記号がつけられている。同氏の掲示板には、ボンズの公式コメントと「流出のお詫び」の内容とは相反するのではといったコメントが寄せられたが「尤も私は殆ど何も知りませんけどね。事実と書状の二点だけ、です」と述べるにとどまっている。
南社長は、7月4日にアニメーターに対し、状況説明のための「お詫び」の手紙を送付したことを認めているが、あくまで同社から「流出したものではない」との考え方を示している。