「企業はより妥当性のある制度を模索している」
労務行政研究所の園田裕彦編集部長はJ-CASTニュースに対し、
「結果ばかり評価して重視しても、その結果が偶然だったり、本人の能力によるものなのかわからない。また,結果を重視するあまり,コンプライアンス上問題のある行動など、企業にとってマイナスの行動に向かってしまう例もある。そこで、結果よりも、『よい結果を導くためのプロセスが適正に行われているか』を重視する動きが5~6年前から広がってきており,こうした会社では、『プロセス』が会社の求めるものに沿っているか、中長期にわったって会社に貢献するものか、など、仕事のプロセス面を評価し重視している」
と指摘する。
最近では、住友商事や三井物産などがこれまでの成果主義を改め、若手社員については過度な「出世争い」に陥らないように、入社後数年間は「人材育成」と位置づけ昇格スピードに差をつけない人事制度を導入している。といっても、従来の年功序列に戻る訳にもいかないという会社の事情もある。
「差をつけずに40歳になれば皆課長にできるのかというと、会社にとってはそういう訳にはいかないだろう。個人の貢献度の本質を見て、皆の納得できるような評価の下に、格差は職種や仕事の性格にマッチした妥当な範囲でつけるといった具合に、人事制度のマイナーチェンジが行われている段階だ。企業はより妥当性のある制度を模索しているというのがマクロ的に見た場合の現状だろう」(園田編集部長)