上場企業の配当金総額5年で倍増
野村証券金融経済研究所によると07年度末(08年3月末)に増配した企業は1273社中532社だった。前年度末(07年3月末)が1259社中631社だったから、数字上では減少した。サブプライム以降の金融市場の混乱と景気の後退感もあって、「企業収益が鈍化した」(投資調査部)のが理由だ。
ここ数年の増配ラッシュで配当金の水準が上がってきたことで、そろそろ頭打ちとの見方もあるようだが、「09年3月期の業績見通しで減益予測の企業は多いが、株主還元への意欲が減退しているわけではないし、株主の(増配)要求が、むしろ強まっているケースが増えている」という。
大和総研によると、5年ほど前に4兆円だった上場企業の配当金総額が、08年3月末では約2倍の総額8兆円超に達した。「多くの企業は前年の収益などを取り崩しながら配当金を捻出している。景気の後退感が強まれば、余力がなくなるので株主に対してそうそう、いい顔もみせられない」と、企業の配当政策がそろそろむずかしい局面を迎えると示唆する。