イヤホンやヘッドホンもめざましく進化
しかし、こうした危険性について認識は薄い。「Yahoo!知恵袋」に07年12月に寄せられた「イヤホンで音楽を聞きながら自転車を運転したら危険ですか?」という質問に対して、「問題ありません」という意見が見られる。一方、「危ない」という回答のなかには、こんな例も書かれている。
「自転車の方がイヤホンで音楽を聞きながら視覚でも周囲を全く確認せずにいきなり道を横切って車に轢かれた事故がありましたよ」
ところで、「iPod」などのMP3プレイヤーが普及し、イヤホンやヘッドホンもめざましく進化している。最近では周囲の音を遮断する「ノイズキャンセリング」機能付きのタイプが各オーディオメーカーから発売され、騒音の中でもクリアな音楽が聴けるようになった。
ソニーは、ノイズキャンセリングヘッドホンの新製品を08年7月に発売する。「人が耳障りに感じやすい40~1500ヘルツの音を低減させるもので、周囲からの騒音がまったく聞こえなくなるわけではない」と説明している。
広報担当者は、「自転車や自動車を運転しながらの使用や、踏切、駅のホーム、工事現場といった周囲の音が聞こえないと危険な場所では使用しないようにという警告を、イラスト付きで目立つように説明書に記載している」という。しかし、守っていない人が多いことに対しては、「メーカーとしてできることはしている」との回答に止まった。
また、国内の主要オーディオメーカーが所属する業界団体「電子情報技術産業協会 (JEITA)」では事件や事故が発生していることを重く受け止めていて、「行政とも連携して対策を考えていきたい」と話している。一方で、「高級イヤホン」と呼ばれるより高性能なタイプが海外の大手オーディオメーカーから発売されている。海外メーカーはJEITAに所属しておらず、業界団体だけではルール作りが難しいという問題も浮かんでいる。