「肖像権などめぐって、これから大きな問題になる可能性がある」
さらに威力的なのが、住所からその建物を突き止める地図検索機能だ。
井上トシユキさんによると、この機能を使ってビジネスの正体が暴かれたことがあった。06年に、ある人がブログを使って、「こうやれば儲かる」とうたった株取引指南の高価なDVDなどを売りつけていた。ネットでは、このビジネスが疑わしいと話題になり、有志たちがこの人物は本当に儲けているか調べることにした。そして、DVDにあった販売元の住所から、グーグルアースを使って、販売元の建物はビルではなく小さな一軒家だと突き止めたのだ。この人物は、儲けたとウソをついて、高価なDVDを売っていたというわけだ。
もっとも、この建物を割り出すという機能は、悪用もされうる。
新華社ロンドンの2008年6月19日付日本語訳記事によると、イギリスでは、若者たちが、グーグルアースを使って大きなプールを持つ家を見つけ、夜中に侵入。そこで泳いだり、パーティーをしたりする行為が相次いでいる。夜中に騒ぎで起こされたり、ビール缶をまき散らされたりする被害が報告されているという。
このほかに、屋上で日光浴をするトップレス姿のオランダ人の若い女性の姿がネットに出回り、話題になったことがある。あるテレビ局は現地まで行って、この場所の住人にインタビューまで試みようとしたとの情報まで出た。
前出の井上トシユキさんは、日本でも、グーグルアースが悪用される危険性を指摘する。
「ストーカーが相手の住所を把握すれば、建物についても調べられてしまいます。自分の持ち家を公開されたくない人は、『グーグルに写してくれと言った覚えはない』と怒るでしょう。これから大きな問題になる可能性があり、著作権や肖像権を確認する訴訟を起こす人も出て来るのではないでしょうか。いい面と悪い面が先鋭化しており、グーグルアースの利用は諸刃の剣と言えます」