「出版社と著者に対して、法的手段も視野に入れて対応を考えているところである」――東国原英夫宮崎県知事がブログでこんな「爆弾発言」をした。怒りの矛先は政務秘書の吉川敏夫氏が書いた暴露本『知事、まさか今夜もピザですか!?』(双葉社)。「最初から最後まで事実誤認の内容が続いている」と法的措置も辞さない内容になっているが、東国原知事のことだからなんだかネタのような、といった憶測も飛んでいる。もっとも知事は本当に怒っているという話もあり、事態は混沌としている。
女性スキャンダル報道の真相も暴露
政務秘書が書いた暴露本『知事、まさか今夜もピザですか!?』で波紋
東国原知事は2008年6月24日、自身のブログで「訴訟」と題した記事を掲載した。
「政務秘書の吉川君が今度出版する本『知事、まさか今夜もピザですか!?』の内容は、余りにも事実と乖離している。最初から最後まで事実誤認の内容が続いている。全段、嘘と言っても過言ではない」
吉川政務秘書に対してこんなことを述べ始めた。しかし、これだけではない。「かくなるうえは、名誉毀損、営業妨害、出版差し止め等、出版社と著者に対して、法的手段も視野に入れて対応を考えているところである」と、「訴訟」も検討しているというのである。東国原知事が「事実無根の一例」としてあげているのは、次のような内容だ。
吉川秘書が東国原知事に対し「あなたが逝ったら私たちはどうしたらいいのか?」と訪ねたところ「顔がきれいで、スタイルのいいお姉ちゃんを墓参りさせてくれるだけでいい」と答えた、というのだ。
一方、東国原知事は、
「僕は彼にいつも言っていることは、『死んだら、墓はいらない。生まれ故郷の都城市が一望出来る金御岳に散骨してくれ・・・・』ということである。なのに、本には全く違うことが書いてある。あんなこと言った覚えは無い。一事が万事。全てそんな調子である。断固、抗議したい」
と反発している。
『知事、まさか今夜もピザですか!?』ではこのほかにこんな内容の記述もある。知事就任の1か月後に週刊誌で報じられた女性スキャンダルについては、女性をマンションに屈ませて招き入れたことについて「実は週刊誌に撮られることを想定して行っていた」と述べ、「週刊誌に東国原のスキャンダルが出れば、また話題作りになる。もちろん女性にはご迷惑をおかけしました」などとしている。
また、東国原知事が女性と別れるために手切れ金150万円を支払ったという週刊誌の報道については、「もしそれが真実ならば、なぜその150万円を振り込む役目の人間が私ではないのですか! ちょっと寂しく思ったし、失望もしました」と冗談交じりに書いている。ほかにも、知事の髪の毛について増えているように指摘されているが、実際には減っていることなど、なんだか知事が怒りそうな内容も数多くあるように思える。
26日に予定されていた出版会見が急きょ中止
吉川秘書をめぐって訴訟を検討しているというのは本当なのだろうか。宮崎県秘書広報課の報道担当者は、
「知事個人のことなのでわからない。しかし、知事は本気で訴訟をしたりしないのではと思っている」
と話す。吉川政務秘書は現在でも政務秘書という立場は変わっていないというが、「知事は怒っているのか」という問いに対しては、「それはあると思います。ブログに書いてあるとおりです」と述べており、どうやら東国原知事は怒っているというのは本当のようなのだ。
『知事、まさか今夜もピザですか!?』をめぐっては、2008年6月26日に予定されていた出版会見が急きょ中止になっている。出版元の双葉社はJ-CASTニュースに対し、
「会見の前日に、著者からスケジュールの調整がつかなくなったと連絡があり、中止とさせて頂きました」
とコメント。実際に東国原知事側から抗議があったのかについては、「今のところ全くないので(そういった話については)お答えできません」と話しており、それ以上のことは分からない。
ただ、東国原知事の冗談ネタといった見方もある。というのもブログでは、この書籍について印税の全額寄付を求めているほか、「鬼の洗濯板で実際に鬼になって洗濯をするとか、天孫降臨の高千穂で、天に届く逆バンジーとか、住吉海岸侵食対策・人間ヘッドランドとか、きちんとした誠意ある大人の対応、謝罪等を求める」と到底真面目に受けられないような「謝罪」を要求している場面もあるからだ。宮崎県庁の関係者も「最後の記述がありますからね。たぶん冗談だと思うのですが・・・」と漏らしている。しかし、冗談にしてはやり過ぎのような・・・