原油の高騰が、マスコミ業界にも影響を及ぼしてきた。地方紙の経営が広告収入の落ち込みなどで悪化するなか、新聞用紙が28年ぶりに値上がりというダブルパンチに耐え切れず、山形新聞は14年半ぶりに購読料の値上げを決断した。状況は他の新聞も似ており、値上げが広がる可能性もありそうだ。
「用紙代値上げと広告落ち込みが原因」
山形県ではトップシェアを占める地方紙、山形新聞は2008年6月19日、購読料を08年7月1日から値上げする、と発表した。1か月3007円だったものが9.74%値上がりし、3300円になる。値上げは1994年以来14年半ぶり。
その他の地方紙値上げの例としては、栃木県の下野新聞が06年6月に2803円から2950円に12年半ぶりに値上げしたほか、北海道の夕刊紙、十勝毎日新聞が07年10月に値上げした例などがある。
山形新聞の紙面では、値上げに踏み切らざるを得なかった理由が率直に記されている。
「今年4月から製紙メーカーがそろって新聞用紙代を値上げしたほか、原油高に伴う印刷材料費のアップなど新聞製作のコストは上昇を続けています。加えて近年、新聞経営を支えてきた広告収入が大幅に落ち込み、経営環境は厳しさを増しています。合理化と経費節減に努めてきましたが、それも限界に達しました」
確かに、製紙業界最大手の王子製紙に確認してみると、「値上げ幅は明らかにできない」としながらも、08年4月から、1980年以来28年ぶりの新聞用紙値上げに踏み切ったことを明らかにした。数パーセントといわれる値上げの背景には、原料である木材チップや、製造の際に必要な重油の値上がり分を製品価格に転嫁したことにあるとみられている。