結局、これまで「特約」でもうかっていた
保険料の引き上げが大手損保の言うとおり、保険料単価の下落にあるのだとすれば、ダイレクト損保の置かれている状況も同じはず。しかし、三井ダイレクトは「現状、保険料を引き上げるつもりはない」としている。大手損保の引き上げの動きと消費者の節約指向で、契約は放っておいても増えていきそう。ダイレクト損保のなかには、この機を追い風とばかりに、一気にシェア拡大を図ろうと、値下げに動くところもあるほどだ。
大手損保が保険料を引き上げる、もう一つの背景には保険金の不払い問題の反省として、自動車保険の商品性をシンプルなものに見直したこともある。これまで基本契約に加えていろいろと付加されていた「特約」条項を整理し、一部を廃止。新しい商品に改定して、付帯サービスを充実することを契機に、保険料を引き上げようというわけだ。
あるダイレクト損保の関係者はこう説明する。
「自動車保険はもともと収益性が悪く、それが保険料率の自由化でさらに厳しくなった。そこに登場したのが特約だ。重複するような特約もあったのに、契約者にあれこれ付けさせて、その挙句、売った商品も、自分が入っている商品もわからなくなったのが不払い問題につながった。つまり、これまで特約をあれこれ付けていたことで保険料の単価を吊り上げていた。それを廃止したのだから、(単価は)当然下がる」
「特約」の廃止で、保険料を上げざるを得ないというのが、大手損保の事情のようだ。