東京海上日動火災保険や三井住友海上が2008年7月から自動車保険の保険料を引き上げる。損害保険ジャパンはすでに4月に引き上げていて、その背景には若者の車離れがあるという。一番のいいお客が減り、採算がとれなくなっての引き上げというわけだ。その一方で、インターネットや電話で加入できるダイレクト損保の契約件数は2007年度で平均8%の伸び。大手損保はいよいよ苦しくなってきた。
保険料「単価」の減少響く
2008年7月から、東京海上日動は平均1.5%、三井住友海上は同1.0%、保険料を引き上げる。損害保険ジャパンはすでに4月に、2.9%も引き上げていた。東京海上日動は7年ぶり、三井住友海上は2年ぶりの引き上げだ。
大手損保が保険料の引き上げを余儀なくされたのは、1998年の保険料の自由化以降にはじまった自動車保険の収支の悪化だ。具体的には、「保険料率の単価が下がっているから」(三井住友海上)。少子高齢化による若者のクルマ離れが指摘されるが、年齢条件で保険料が異なる自動車保険にあって、一般的に若い人ほど保険料は高い。その若者の契約が減っている。
また、ガソリン価格の高騰や地球温暖化問題を意識するドライバーが増え、小型車に人気が集まって大型車や高級車が売れず、保険料が下がっていることも「単価」が減っている要因だ。
一方、ソニー損保や三井ダイレクト損保、アクサ損保といったインターネットや電話で保険加入を受け付けるダイレクト損保の業積は好調で、シェアを拡大している。あるダイレクト損保の関係者は「ダイレクト損保は全体的に好調ではあるが、シェアはまだ10%程度しかない。大手損保にしてみれば、多少(ダイレクト損保に)流れても値上げしたほうが得と判断した」とみている。
ある大手損保は、「代理店のサービスを、『顔が見える』といって使う人はまだまだ少なくない。事故対応の場面などでは、近くで親身になってくれるという便利さがあり、そこにネット損保とは明確な違いがある」と自信をみせる。今後はダイレクト損保が先行するロードサービスの拡充などにも力を入れる。