米国では、ユーチューブなど動画投稿サイト利用増える
海外を見ると、アメリカでは、ネット選挙の流れが加速している。
米CNETニュースの08年6月16日付日本語訳記事によると、同年の大統領選挙で、政治目的にネットを利用する米国民は、4年前の前回選挙時の3割から、5割にまでに拡大している。予備選でも、民主党なら、オバマ氏がトゥイッター、クリントン氏がフェイスブックといったソーシャルメディアを活用していた。
中でも利用増が目立つのが、ユーチューブなどの動画投稿サイトだ。そこで演説映像などを見ると回答した人が、前回の13%から35%にまで急上昇しているのだ。記事では、「若い有権者では、より年齢の高い成人に比べ、政治に関するオンラインビデオを見る割合が高く、投稿、電子メール、テキストメッセージ、ソーシャルネットワーキングサイトを使って自分なりの政治的なコメントを残す傾向にある」としている。
日本では、ネット選挙はどこまで認めるべきなのか。
ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは、こう述べる。
「政治家はよく、テレビ、新聞は言いたいことを伝えていない、真意がねじ曲げられている、などと文句を言います。しかし、ネットでは、自分の声をダイレクトに伝えられるわけですから、むしろ積極的にネット選挙を進めるべきだと思います。誹謗・中傷を嫌がる声があるようですが、ネットが普及した今は、双方向性に耐えられない政治家はいられない時代になっています」
有権者にとってのネット選挙の意義も指摘する。
「共産党の志位和夫委員長が派遣労働について追及した国会の様子の動画は、何万回も再生されました。若者も、ワーキングプアなどの政治問題にはすごく反応しています。政治離れどころか、政治に強い関心を持っているんですよ。しかし、これまで若者の心に政治が届いていなかったので、政治家はネットなどでもっと有権者を触発すべきなんです」
ただ、ネット上の考え方の偏りに対しては、対策も必要だとする。
「今のIT技術なら電子投票も可能ですが、ネット世論に脊髄反射して、その方向にどんどん行ってしまう危険性があります。衆愚化しがちであるので、政策などをじっくり考えるようになる仕組みを考えなければいけないでしょう」