インターネット上の選挙運動について、自民党が結論先送りを決めた。議員の間に、ネットへの根深い不信感があるためだ。そんなにネット選挙はダメなものなのか。
「誹謗・中傷問題は大丈夫なのか」
「ネット選挙解禁について、誹謗・中傷問題は大丈夫なのか、という声が強く上がりました。その結果、解禁は保留ということになり、今後さらに検討するということです」
自民党の選挙制度調査会が2008年6月18日にまとめた報告書について、同党政調会の職員は、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明した。
党内のワーキングチームでは06年5月30日、ホームページに限って解禁を認める最終報告をまとめた。調査会では、これをたたき台にネット選挙全般について解禁すべきか議論したが、結局、慎重派に押された形となった。
日本では、公職選挙法上、選挙期間中にネットを利用して選挙運動を行うことは認められていない。しかし、ネット上では、現実が先行してしまっているのが実情だ。07年4月の都知事選では、マスコミで「泡沫」扱いされていた候補者の政見放送がユーチューブにアップされ、騒ぎになった。
「もはや政府転覆しかない」
「今はただ、スクラップ&スクラップ」
独特の風貌とパフォーマンスで、そんな過激な演説を繰り返す様子の動画は、約40万回も再生された。ところが、公平性を欠くことが問題になり、都選管がユーチューブにこの動画を削除するよう要請する事態にまでなった。結果として、この候補者は、選挙でも約1万5000票を獲得している。
こうしたネットの影響力も、自民党では認めているようだ。「郵政選挙」と言われた05年9月の総選挙では、同党幹部とブロガーらとの懇談会を計3回開き、党の政策スタンスを説明していた。しかし、選挙制度調査会での議論のように、未だに選挙でネットを利用しようという流れに至っていない。