家庭用ゲーム機「PS3」で「PS2」用ソフトが遊べるエミュレーター(ゲーム機ハードの役割をするプログラム)が2008年10月に配布される――。そんな噂がネット上を駆け巡っている。もともと「PS3」は「PS2」用ソフトでも遊べたのだが、旧型は08年1月で出荷終了。両方のソフトが遊べなくなったことに対し、ファンから不満の声が多く出ていた。
08年1月にエミュレーターの開発者を募集していた
SCEのエミュレータ開発を報じたサイト
この話題のネタ元になっているのは、「playstation in game」に08年6月3日、ドイツ語で書かれた記事。記者がソニーの関係者に取材した際、08年10月をメドに新型「PS3」が「PS2」ソフトと互換性を持つようになる、と話したが、これはエミュレーターの「配布」によって可能になるものだ、としている。ソニーの狙いは、インターネットで販売している「PS2」用ソフトの販売強化。記事は「絶対に妥当性のあるソニーの戦略」としているが、「このニュースの正確さは保障できない」とも付け加えている。
「PS3」が06年11月に発売された際には、「PS2」ソフトのとの互換性があった。「PS3」のソフトタイトルは全世界で475 (08年3月末)。「PS2」の9851に比べ圧倒的に少ないため、この点で新型「PS3」はゲームファンを落胆させた。その後、何が起こったかというと、「PS3」の販売台数はライバルの任天堂の「Wii」に大きく水を開けられたのに加え、旧機種であるはずの「PS2」の売り上げを伸ばすことになったのだ。例えば、メディアクリエイト調べの「週間ソフト&ハードセルスルーランキング(2008年5月26日~6月1日)」によれば、「PS3」が9169台に対し、「PS2」は7203台と健闘が目立つ。
今回の話題は、ニュースサイト「GIGAZINE」などが報じて一気にネット上で知られることになったが、実は、08年1月から「エミュレーターが出るのではないか」ということが囁かれている。それは、「PS2」用ソフトと互換性のある「PS3」の出荷終了に合わせるように、SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)がこんな中途採用募集を、自社のホームページに掲載したからだ。
「PS3および次世代システムにおいて、初代PS、PS2、PS3、PSPを対象としたエミュレーターの実装と改良」
「技術上は可能だと思います」
Q&Aサイトにも、こんな質問がいくつも出ていた。
「PS2ができるPS3(エミュレータ)について。機械のことはよくわからない素人です。教えてください」(教えて!goo、 08年1月27日)
「40GBモデルのPS3で、PS2ソフトとの互換機器は出るのでしょうか?買った当初は、PS2ソフトはたぶんやらないだろうと購入してしまいましたが、いざ使ってみると互換性がないのはとても不便でした・・・」(ヤフー!知恵袋、08年5月29日)
質問への回答は、
「エミュレートすることは相当困難だと思われます」
「結構SONYも考えてるなぁ」
「いつになるかはわかりませんが互換性を持たせてくると思います」
など様々だった。
本当にエミュレーターが08年10月に配布されるのか、配布されるとすれば価格はどれくらいなのか。J-CASTニュースがSCEに取材すると同社広報は、
「技術上は可能だと思います。ただし、新型『PS3』と『PS2』はハードの仕様が異なるため、互換性のあった『PS3』とは同じにはならないでしょう。もっとも、エミュレーターに関しては今のところご案内はしていませんし、わかりません。噂の域を出ない段階です」
と話している。