「前科43犯ぜひ45目指してほしい」 司法修習生軽率ブログが閉鎖

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   ブログやミクシィ日記での「うっかり発言」で社会的立場を失うケースが相次ぐなか、日本の試験制度で最難関ともいわれる司法試験を突破した男性のブログがトラブルに巻き込まれた。検察で取り調べを行う様子など、司法修習の内容が詳細につづられており、裁判所法の守秘義務違反の疑いが持たれているのだ。それ以外にも、高い倫理観が求められるはずの法曹職としては軽率とも受け止められかねない発言も散見され、波紋を呼んでいる。

初めて被疑者の取り調べを行った様子を告白

ブログの内容が波紋を呼んでいる
ブログの内容が波紋を呼んでいる

   問題化したのは、長崎市内で実務修習をしている20代後半の男性が開設していたブログ。

   元々は都内の有名大学でのロースクール生活が綴られていたが、07年秋に司法試験に合格してからは、「司法修習生のなんとなく日記」というタイトルがつき、修習の様子が紹介されている。

   司法修習生は国家公務員に準じる身分で、裁判所法に基づく規則で守秘義務を負っている。ブログの内容が、これに違反している疑いが持たれている。

   例えば、08年2月15日の記述では、初めて被疑者の取り調べを行ったことを告白。その様子を紹介している。

「相手は80歳のばあちゃん。 最初はいろいろ話を聞いてたけど,途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり。 おばあちゃん,涙は出てなかったけど。
けど,なんで20代の若造が80歳のばあちゃんを説教してるのか。それに対してなんで80歳のばあちゃんが泣いて謝ってるのか。なんとなく,権力というか,自分の力じゃない力を背後に感じた」

   この記述だけで被疑者を特定できるかは不明だが、業務で知り得た情報には間違いなさそうだ。

   また、2月29日付の記述では、刑務所を見学した際の受刑者の様子を

「ぼくらが工場に足を踏み入れたときの,受刑者たちの視線が痛かった。 自分たちの縄張りに土足で外の者が入るな。と。 ただ,工場で作業をしている受刑者たちは,なんだかロボットのようで,彼らの心が読めなかった。何を考え生きているんだろうか」

と表現した上で、

「偶然にも,いま自分が取り調べ中の被疑者は,刑務所出所後5日目に,また犯罪行為に出た人で,なんかその被疑者を見ていると,この人は刑務所でしかうまく生きていけないんじゃないかと感じた」

と暴露。4月9日付けでも、被疑者の経歴について触れた記述がみられる。

「すごい人がいました。前科43犯。この人70歳そこそこ。そのうち37年くらい刑務所暮らし 20歳以降で言えば,37/50くらい。43もいくということは,しょぼい犯罪ばかり繰り返してるということ。 ぜひ45目指してほしい」

ブログ閉鎖「理由は、まぁいろいろです」

   これ以外にも、職務上の秘密を漏らしているかどうかは微妙なものの、軽率ととられかねない記述も散見される。例えば、3月16日付では、自分が検察官に向いていないのではないかという思いを吐露した上で、

「検事の立場に対しての疑問もあるし,なんだか仕事の幅が狭いとも感じた。検事が言ってたけれど,社会のゴミ掃除ばっかりやってると視野が狭くなると(思う)」

と、「検事の仕事は社会のゴミ掃除」と受け取られかねない記述だ。

   3月20日付では、司法解剖に立ち会った様子を

「死後数日経っていたから,もっと腐敗してるのかと思ったが,死体はきれいなもんで,それを直視することはどうってことなかった。が,死体を切り刻んで内臓とかを全部出して全部調べると臭いはきついもんで,人間ってこういう臭いするものかと感じる」

と表現。さらに、5月27日付では、長崎市長殺害事件の判決公判で死刑判決が下されたことについて

「その結論は頭の中ではわかっていたけれど,法廷に響き渡ったその言葉に鳥肌が立った」

としながらも、

「テレビに映るとか言っていたけど,午前中のテレビ撮影が入っている時間帯はジャンケンに負けて修習生席に座れませんでした…。けれど,午後は法廷にいたので,主文の瞬間に立ち会いました」

と内幕を披露。

   長崎地方裁判所では、6月12日に最高裁判所から連絡を受け、事態を把握。その2日後の6月14日に、ブログには

「3年半以上も続けてきたこのブログ、閉じることにしました。 理由は、まぁいろいろです。 弁護士になったら書いてる暇もないだろうし、やめようかと思っていたけど、ちょっと早まりました」

とのメッセージが掲載され、ほどなくブログは閉鎖された。

   長崎地裁によると、現在は事実関係の調査を進めている段階で、処分については今後検討されるという。

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