第一三共インド最大手を買収 成長市場「後発薬」に参入

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   製薬大手の第一三共が、インドの製薬最大手、ランバクシー・ラボラトリーズを買収する。ランバクシーは、世界的に需要が拡大している後発(ジェネリック)医薬品で強い競争力をもち、第一三共は世界で約7~8兆円ともみられる後発薬市場への参入を一気に実現する。日本の製薬会社がかかわる国境を越えた大規模なM&A(企業の合併・買収)はこの1年で目立っており、今後も加速しそうだ。

世界の市場規模は数年内に10兆円を超える

   第一三共は、株式の公開買い付け(TOB)により、ランバクシー株の50.1%を取得する。買収総額は4000億~5000億円の見込み。最近の国内製薬会社のM&Aでは、最大手の武田薬品工業が2008年5月、米バイオ医薬品会社「ミレニアム」社を約7400億円で買収したのに次ぐ規模だ。

   今回の買収の最大の狙いは、第一三共がこれまで手掛けてこなかった後発薬市場への足がかりを確保することとされる。後発薬は、新薬の特許期間が過ぎた後に、同じ成分を使って作られる医薬品だ。開発費が抑えられるため、価格は新薬の7割未満。このため、欧米を中心に後発薬市場は急成長しており、 欧米での普及率は医療用医薬品全体の5割前後に上るとされる。世界の市場規模は数年内に10兆円を超えるとみられる。

   日本国内でも、高齢化進展によって増え続ける医療費の抑制につなげようと、政府の後押しで後発薬市場が拡大する環境は整ってきた。国内の普及率はまだ2割未満だが、政府は12年度までに30%に引き上げる目標を掲げており、製薬関係者の多くは「政府の支援さえあれば、今後、必ず成長が見込まれる」とみている。

「長い目で見れば、高い買い物ではない」

   ランバクシーは、高コレステロール血症や感染症などの分野の後発薬が主力商品で、世界約50カ国で事業展開している。第一三共は、ランバクシーを傘下に収めることで、第一三共にとっては未知の分野であり、成長が期待される後発薬市場の参入がかなう。最大で5000億円にものぼる買収になるが、「長い目で見れば、高い買い物ではない」(製薬関係者)との見方は多い。

   第一三共は5月、人の免疫システムを活用する「抗体医薬」を専門とする独バイオ医薬会社、U3(ユースリー)ファーマを、約243億円で買収すると発表した。がん治療の新薬開発を強化する狙いで、成長が見込まれる分野への戦略的なM&Aが目立つ。

   こうした動きは他の国内製薬会社も同じで、武田のミレニアム買収をはじめ、エーザイががん治療などに強みを持つ米製薬会社、MGIファーマを1月に3900億円で買収するなど、動きは激しい。ただ、「海外の企業は文化の違いもある。買収しただけでは成功とはいえず、買収後にいかにうまく戦略をたてて事業を進めていくかがカギだ」(国内製薬会社)と慎重な見方も強い。

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