枝川二郎の「マネーの虎」
サブプライム問題のウソ・ホント(4)格付け会社の「特権的地位」を剥奪せよ!

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   サブプライム問題以降、「格付け会社」に対する批判が高まっている。これはいったい、どういうことなのか。

   「格付け」とは債権の返済がどれだけ確実に実施されるかを簡単な記号(AAAとかBB)を使って表わしたものだ。たとえば、99.99%の確率で返済がなされるのであれば、最上級のAAA(トリプルA)格、といった具合。これにより企業の信用力が一目瞭然となり、投資家の判断がラクになった。

「責任がない」とは虫が良すぎる

   同じ格付けでも東京電力債の格付けとか日本国債の格付け、といった場合は比較的理解しやすい。しかし、証券化商品の格付けは複雑だ。問題となったサブプライム住宅ローンの証券化の場合では、何千という数の住宅ローンを束ねて、それをさらに信用力別に切り分けたものが投資対象になる。これを投資家のためにチェックし評価してくれる存在として格付け会社があり、その役割は重要だった。

   格付け会社は、債券を発行する側から徴収する手数料を主な収入源としている。サブプライム問題の大きな原因は、格付け大手3社(スタンダード&プアーズ、ムーディーズ、フィッチ)のあいだの顧客獲得競争により、格付けが甘くなってしまったところにある。お客(発行体)はいちばん良い格付けをつけてくれる格付け会社を選ぶに決まっているからだ。

   「格付けとは憲法で保障された自由な言論表明にすぎない。何ら責任をとらされる筋合いでない」というのが格付け会社の主張。しかし、現実には大手数社については各国政府の「お墨付き」であたかも準公的機関のような権威が備わっており、たんなる民間企業とはもはや言いがたい。このような特権的な地位を与えられていながら、「責任はない」と主張するのはどう考えても虫が良すぎる。

   今後あるべき姿としては(1)特権的地位を保ち、その代償として大きな責任を背負う、あるいは(2)特権的地位を失って市場のたんなる一プレーヤーとして存続する、のどちらかでしかないはずだ。

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