朝日新聞「論座」休刊へ 高級新媒体に衣替え説

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   出版不況が続くなか、朝日新聞社発行のオピニオン月刊誌「論座」の休刊が内定したことがわかった。朝日新聞に限らず、オピニオン誌、月刊の総合誌は赤字を抱えているケースが多く、朝日新聞社内では、「知識層向けの高級新媒体に衣替えするのでは」との憶測も広がっているという。

08年10月号をもって休刊することを近く正式決定

休刊が内定した月刊「論座」
休刊が内定した月刊「論座」

   朝日新聞関係者によると、2008年9月1日発売の08年10月号をもって休刊することが内定しており、近く正式決定する。連載を担当している執筆陣には、すでにその旨が連絡されているという。

   「論座」は、94年3月号で休刊になった「月刊Asahi」の事実上の後継として、「Ronza」の名称で95年に創刊。97年からは雑誌名を現在の「論座」に改めて発行されており、「世界」(岩波書店)と同様、リベラル派を代表するオピニオン誌とされている。

   しかし、経営的には苦戦を強いられてきた。日本雑誌協会の「マガジンデータ2007」によると、ライバル誌の「正論」(産経新聞社)の発行部数が81,991、「諸君!」(文芸春秋)が70,041、「中央公論」(中央公論新社)が41,633なのに対して、「論座」は20,433。定期購読制の外交専門誌「フォーサイト」(新潮社、22,375部)をも下回る水準で、赤字が慢性化していたという。

   「論座」を発行してきた朝日新聞社出版本部が08年4月1日に「朝日新聞出版」として分社化され「AERA」や「週刊朝日」の発行を引き継いだ際も、「論座」や新聞縮刷版の発行は、朝日新聞本体が行うことになった(販売のみ新会社に委託)。これは、不採算事業を新会社から切り離すことで、新会社への負担を軽減することが目的とみられている。

   しかし、新聞本体の経営も広告収入の落ち込みなどで厳しく、不採算事業に対する風当たりはますます強まっていた。

「オピニオン誌はどこも赤字」

   休刊後については、知識層にアピールできる新媒体が創刊されるのでは、との憶測が朝日新聞社内で広がっており、新媒体は「高級紙」として新聞形式になる可能性と、雑誌形式になる可能性の両方がささやかれているという。そのための「論座」休刊ではないか、というわけだ。

   一方、「論座」編集部勤務経験者は、

「オピニオン誌はどこも赤字。それでも続ける理由は、コンテンツを新書などにも展開できるから。雑誌単体で(事業継続の可否を)評価するようなことはないはず」

とし、「赤字でも続けること」の意義を強調し、休刊の決定に疑問を呈する。

   朝日新聞社広報部は、J-CASTニュースの取材に対してファクスで

「月刊誌『論座』の今後に関しては様々な角度から検討していますが、休刊を正式決定したということはありません」

とコメントするにとどまっているが、老舗のオピニオン誌はこのまま消えるのか、あるいは衣替えするのか、今後注目が集まりそうだ。

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