IT化して大量の情報を扱うようになり、かえって使用する紙の量が増えた会社は少なくない。このため、節減対策としてプリンターに裏紙を使用するところも多い。ところが紙詰まりや故障が頻発するケースも出ている。裏紙は使うべきなのか。
プリンター製造会社「裏紙の使用は推奨しない」
プリンターの裏紙の使用は故障の原因?
裏紙のプリンター使用に関しては賛否がわかれる。賛成派は、環境への配慮やコストの削減につながるといった点を挙げる。一方、反対は、裏紙の使用がプリンターの故障につながるという理由からだ。ネットの書き込みによると、
「裏紙が原因でトラブルを起こしたため、職場内の裏紙使用を禁止しました」
という会社もあるようだ。
そのトラブルとは、ホチキスをつけたままの裏紙や折れ曲がった紙を使用したところ、紙詰まりが起こったというもの。さらに、「裏紙に印刷すると紙にしわが寄って、字がつぶれて読めないことがあって再印刷。結局無駄印刷が増えるんです」という指摘も書かれている。
複数のプリンター製造販売会社に問い合わせると、裏紙の使用は「推奨していない」と回答している。製品の説明書やホームページの商品説明欄で、裏紙の使用は紙詰まりの原因になると明記しているところもある。ある担当者は、「技術的には裏紙を使用しての印刷は可能だが、自己責任の範囲での使用として欲しい」と釘を刺す。
「一見、保存状態の良い裏紙を使用した場合でも紙詰まりや故障の原因になる」
と話すのは、印刷関連用品を販売するクラフトヒューマック(石川県白山市)の担当者だ。その訳はプリンターの構造にある。
企業で使われるレーザープリンターでは、印刷の工程で紙が静電気を帯び、さらに加熱されてカールしてくるという。そのため新品の用紙に比べて紙詰まりを起こしやすくなる。また、他メーカーのプリンターで印刷したものを裏紙として使用すると、融点の違いから印字されたトナーが溶けて機械内部に付着し、故障の原因にもなる。特にカラーレーザーやカラーコピーで印刷したものをモノクロレーザーで使うと、その確率がかなり高くなるそうだ。
両面印刷など「紙の使用を減らす」新商品を発売
エプソン販売によると、プリンターの修理費は技術料と部品代で数万円はかかることが多い。裏紙使用で故障となれば、コスト削減が一転してコスト増になる。
そうはいってもコスト削減を考えると、できれば裏紙を使いたい、というのが企業の本音。そこでプリンター製造各社は視点を変えて、「紙の使用を減らす」コンセプトの新商品を発売するようになっている。
キヤノンでは、両面印刷や1枚に2ページ分を割り付けられる機能をほとんどのプリンターにつけていて、広報担当者によるとこうした商品の売れ行きが伸びている。
また、富士ゼロックスでは「コピー、スキャナー、プリンターが1台になった複合機タイプが人気だ」という。紙の資料を簡単にデータ化でき、紙の使用が格段に減る。さらに、データ化した資料に付箋をつけたりと、まるで紙のように画面上で扱うことができるソフト「DocuWorks」も発売していて、販売ライセンス数はこれまでに200万件を突破している。