外資系企業は協定に縛られない
スタート時期が早まり、学業への影響が懸念されるが、一方の企業にも優秀な人材を他社へ横どりされないように繋ぎ止める負担がある。内定(内々定)を出してから、定期的に会社を訪問させたり、製品やグッズなどをおみやげにもたせたり、内定者研修がある企業も。入社前に仕事に必要になる資格の取得を奨励し、その費用を補助する。また、バブル期に行っていた海外研修を復活するなど、囲い込む企業側もかなり熱くなっている。
かつてあった就職協定は1996年に廃止された。学生、企業の双方が少なからず負担に感じているのであれば、おのずと就職協定の「復活」の話があってもよさそう。新卒採用の歴史をひも解くと、ほぼ10年ごとに就職協定が廃止・復活を繰り返してもいる。
J-CASTニュースは就職協定の復活について、アンケートを実施した産能大に聞いた。すると、「復活はむずかしい」と即答された。「一般論としてですが、大学側としては『就活は4年生になってから』とは、なかなか言えません。学生の将来にかかわる問題ですし・・・」と歯切れが悪い。大学関係者のあいだでも「復活」は、いまのところ話題にならないという。
企業側にも「復活」できない理由がある。それは「外国企業の進出」だ。日本経団連が制定した「企業の倫理憲章」に賛同しているのは895社(07年10月現在)。しかし、ここに外国企業は入っていない。
ある大手銀行は、こう説明する。
「ここ数年、外資系の投資銀行などが学生に人気で、優秀な人材がそっちへ流れている。外資系は経団連にも加盟していないので、倫理憲章の縛りもないし、優秀な人材であれば、つねに確保しようとしている。そういう企業を相手に、どうしても後れをとりたくない」
となれば、就職協定など「ありがた迷惑」になるだけだ。