横領不起訴は確認できず
一方、グリーンピースが業務上横領罪で告発した乗組員らについては、日本テレビや共同通信などが、東京地検が近く不起訴にする方針だと報じた。それによると、共同船舶が鯨肉を買い取って慰労の意味で乗組員に配っているため、嫌疑がないと判断したという。
これに対し、グリーンピースも共同船舶も、検察側の方針はまだ決まっていないとの見方だ。
グリーンピースでは、弁護士を通じて地検に問い合わせたところ、まだ捜査中で不起訴方針という事実はないとの回答だったとしている。オーストラリアのラッド首相が来日して捕鯨問題を話し合うなどのタイミングで誤報が流されたとして、「捕鯨派による非常に意図的な情報操作だと思います。調査捕鯨を続ける狙いがあります」と主張している。
共同船舶では、「関係者を含めて、事情聴取は終わっていないようです」としているものの、横領については否定。「従来からの水産業界の慣習により、会社で決められた範囲内で、乗組員にお土産を渡しています。告発されるようなことではありません」と釈明している。グリーンピースが土産なら冷凍で宅配されると主張していることに対しては、「短期間なら常温でも腐らないので、たまたま鯨肉が塩漬けだっただけ」と反論している。横流し転売の指摘については、「内部調査で全員に事情を聞いており、そういう事実はありません」としている。
水産庁遠洋課では、横領告発後の経緯について、「不起訴とは聞いていないので、びっくりしています。まだ捜査中とあって共同船舶からの報告書提出が遅れており、報告を受けたうえで検証することになります」と話している。