日テレ「警視庁に謝罪」の不思議 秋葉原の殺人事件目撃証言

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   「警視庁はじめ関係者の方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」。日本テレビ系番組「スッキリ!!」でこう平身低頭して詫びたのは、秋葉原通り魔殺人事件についての「目撃証言」報道だ。日テレ側は「証言はウソではなかった」としているようだが、だとするとなぜ謝罪するのか、不可解だ。

葉山エレーヌアナが深々と頭を下げた

日テレはなぜ番組中で警視庁に謝罪したのか?
日テレはなぜ番組中で警視庁に謝罪したのか?

   2008年6月13日放送の「スッキリ!!」で、葉山エレーヌアナウンサーはこんな謝罪文を突然読み始めた。

「一昨日の放送で、警察官が容疑者を取り押さえるまでの経緯を検証しました。そのなかで、警察官と容疑者は2度対峙しており、警察官が警棒を落とし、取り逃がした最中にも2人の人が刺されたという内容を放送しました。しかし、その後の警視庁の捜査でこうした内容を裏付ける目撃証言はないことが分かりました。こうした内容のVTRと、それに関連したコメンテーターのコメントを放送したことで、警視庁はじめ関係者の方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。またコメントして頂いた方々にもご迷惑をおかけしました」

   深々と頭を下げた。まるで「ねつ造報道」でもあったかのような謝罪っぷりだ。

   日テレが「お詫び」しているのは同番組で2008年6月11日に放送した内容について。番組では、秋葉原の通り魔殺人事件の際に現場に居合わせたという、日本テレビ技術統括局秋元乾太郎局員、日テレグループ会社の日テレ・テクニカル・リソーシズの石渡裕二カメラマンの「生々しい証言」が紹介されている。

   秋元局員は「そしてこの辺りでおそらく男性と女性が刺されています。(レポーター:警察官の目の前で?)そうですね。警察官の隙を突いてこの辺りで男性と女性が刺されています」。石渡カメラマンも「警察官はここで(路地の入り口付近)警棒を落とされてしまったので、犯人はそのときを狙ってこちらの通り(犯人が逮捕された路地)の方に逃げていきました」「また、ここら辺で見ている人たちを刺して、ここでは2人くらいが刺されていたと思います」と証言。

「証言のねつ造」といった類のものではないと主張

   証言の内容は、加藤智大容疑者が警察官との攻防の末に逮捕された路地の入り口付近で、容疑者と警察官の最初の「鉢合わせ」があり、その隙に2人が容疑者に刺されてしまったという点で一致している。フジテレビ系の報道番組でも路地の入り口付近の中央通り上で、容疑者と警察官が向かい合っている写真が紹介されている。大きな流れは日テレの証言とそれほど違わないようにも思える。

   日テレは証言者の顔も鮮明に写した上に、実名で報道している。それからすると、自信満々の報道に見える。ところが、日テレが「警視庁の捜査でこうした内容を裏付ける目撃証言はない」と言い出したのはどういうことなのか。J-CASTニュースが日本テレビの総合広報部に取材を申し込んだが、13日夜になっても回答は来ない。その後、何度か電話で問い合わせたが「分かる者がいない」の一点張りだ。

   そこで視聴者センターに聞いてみたところ、「証言はウソではありません。(証言者は現場を)目撃していたということですから」との答えが返ってきた。どうやら「証言のねつ造」といった類のものではないという主張だが、それではなぜ謝らなくてはいけなかったのか。謎は深まるばかりだ。

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