「タスポ」導入や「1箱1000円に値上げすべきだ」との提言が飛び出すなど、たばこの動向に注目が集まっているが、小学生の喫煙率も5%を超えるというアンケート結果が各地で発表されており、喫煙の若年化が浮き彫りになっている。
小学生喫煙経験者のうち15.8%が入学前に喫煙
例えば兵庫県の阪神北県民局が2008年6月11日に発表した資料によると、小学生の7.2%に喫煙経験があり、そのうち15.8%が入学前に喫煙していたという。調査は同県民局内で05年度から07年度にかけて喫煙・飲酒防止事業を行った際に、17小学校の4~5年生約1200人を対象に無記名アンケートで行われた。「一口でも吸ったことがある」と回答した88人に喫煙の理由を尋ねたところ、「なんとなく・わからない」と回答したのが37人で最も多く、次いで22人が「興味があった」と回答。ちょっとしたきっかけで喫煙を行っている形だ。
この傾向は、この兵庫県のケースに限った話ではない。沖縄本島の北部で05年9月から10月にかけて8高校の約3500人に対して行われた調査では、男子の32.5%、女子は14.1%が喫煙経験ありと回答。そのうち、小学生から喫煙を始めた人の割合は男子が37.7%で、女子が34.8%にのぼる。単純にかけ算すると、調査対象全体のうち男子で12.3%、女子で4.9%が小学生のときに喫煙経験がある、という驚くべき結果だ。
それ以外にも、07年11月から12月にかけて青森県が行った調査では小学5年生の喫煙率が3.4%だったという結果も出ている。全国を網羅した青少年の喫煙実態調査結果は最近では行われていない模様だが、こうして見ていくと、相当数の小学生が喫煙を経験していることがわかる。
「吸いたいと思ったことがある」が減る
もっとも、この流れが変わりそうな兆候もある。文部科学省が06年12月、全国の小中高校生約6万7000人を対象に行った喫煙・飲酒意識調査の結果によると、小学6年生の94%が「喫煙は大いに有害」と回答。さらに、前回00年の調査では小6の実に15%が「吸いたいと思ったことがある」と回答していたのに対して、今回の調査では8%と、ほぼ半減している。若年層の「たばこ嫌い」が進んでいるとも解釈できる結果だ。
前出の兵庫県阪神北県民局では、喫煙防止の教育を実施した後は、生徒の間に「誘われてもたばこを吸わない」「20歳になった時も絶対吸っていない」との声が増えたといい、
「今回行った教育はモデル校のみを対象にしたものだったので、08年度からはDVD教材を作成するなどして、モデル校以外にも広く教育を展開していきたい」
と話している。