野党側には世論の「追い風」が吹く
決議の可決後は野党側の審議拒否が予想されるなど、国会運営に重大な影響が懸念されることから、与党側としても「辞任しないと国会が持たない」と判断した形だ。このように見ていくと、法的には拘束力がない問責決議だが、国会対策上は重要な意味を持っていると言えそうだ。
今回の福田首相のケースでは、野党側には「追い風」が吹いているようだ。JNNが6月7日から8日にかけて行った世論調査によると、52%が「問責決議案を出すべき」と回答した一方、「出す必要はない」と回答したのは36%にとどまった。さらに、40%が、可決された場合についての対応について「衆議院を解散すべき」としている。
一方、自民党の大島理森国会対策委員長は6月8日、
「衆院でけじめをつけなければならない。信任決議も視野に入れて政権を動かさなければならない」
と話し、「内閣信任決議案」を衆院で提出して対抗する構えを見せている。
もっとも、98年の額賀氏の場合と違い、今回は国会の会期末が迫っているため、問責決議案が可決されて野党側が審議拒否をしたとしても「実害」は比較的少ない。その上、福田首相が辞任や衆院解散に否定的な発言を繰り返していることから、今回の決議案が、どの程度の影響力を持つかは未知数だ。