赤ちゃんのいるお母さんの間で、布おむつの利用者が増えている。汚れたら捨てるという手軽な紙おむつが主流のなか、その都度洗う手間のかかる布おむつが今、なぜ人気なのだろうか。
赤ちゃんとのスキンシップをより多く図れる
全国に160店舗のチェーンストアを展開するユニー(愛知県稲沢市)は、キッズ・ベビー専門のEショップ「あぴたきっず」を運営している。最近の売れ筋は布おむつのようだ。
店舗運営責任者の小林竜男氏によると、布おむつをEショップで扱い始めたのは3年前だ。口コミで布おむつの良さが広がり、今ではネットだけで年間5万枚が売れているという。毎年、前年の約3倍のペースで増え続けていて、その勢いは止む気配がない。
介護用品・ベビーマタニティー用品メーカーのエンゼル(東京都豊島区)では、布おむつを30年間製造・販売している。愛知県を中心に販売している担当者は、
「布おむつは、赤ちゃんとのスキンシップをより多く図ることができる」
と話している。
最近の紙おむつには、強力な吸収体が入っていて、2~3回おしっこをしても新しいおむつに取り替えずに済む。便利だが、布おむつと比べて交換する回数が減る。赤ちゃんはおむつを交換してもらう時にお母さんとふれあうことができるが、交換回数が減ってしまっては得られる愛情も少なくなる、ともいえるのだ。
さらに、紙おむつにはこんなデメリットもあるようだ。
「紙おむつをしている赤ちゃんの方が、おむつ離れに時間がかかる」
布の方が汚れたときに肌に濡れた感覚が伝わりやすく、赤ちゃんは「濡れた感じ」「不快な感覚」を早く覚えるという。ところが吸収体が入った紙おむつの場合は伝わりにくく、いつまでたっても赤ちゃんがおしっこをした感覚を覚えない、という。
担当者によると「布おむつの場合は、2歳までには外せた」という声が多いが、紙の場合には3歳になってもおむつを取れないこともあるという。
洗う手間がかかっても赤ちゃんのためにいい
こんな理由から、洗う手間がかかっても赤ちゃんのためには布おむつがいいと考えるお母さんが増えているようだ。ジャスコやマイカルといった量販店を中心に卸しているエンゼルでは、07年の販売量は前年に比べて2割以上増えたという。「以前は紙おむつ派のお客が多く、店頭で布おむつの良さを説明しようとしても話を聞いてくれなかった。最近は足を止めて関心を持ってくれるお客が増えたと売り場担当者から聞く。お父さんが興味を持って購入するケースもあるようだ」
また、昼間は布おむつ、長時間取り替えられない夜間や外出時には紙おむつと、使い分けるお母さんも増えているようだ。
洗って繰り返し使える布おむつは、「エコ」で「経済的」という理由で使い始める人もいる。1枚あたり1000~2000円という価格の布おむつは、数百円の紙おむつよりも高価格だが、使い続けることを考えると経済的だという意見も多い。
また、最近ではカラフルな商品も登場した。布おむつを専門に通信販売している「布おむつ.jp」では、イギリスやカナダから輸入したものを中心に取り揃えている。欧米らしい色使いとクマや車といったプリントが、ファッション感覚でエコに取り組む若いお母さんにも「かわいい」と受けているようだ。担当者によると、取り扱い始めた3年前よりも、この数か月で売り上げは2~3割増えているという。
「楽しみながら使ってもらえているようだ」
オーガニック(有機)コットンを使用したものも人気になっている。
「慣れてしまえば、布おむつでも楽しく過ごせますよ」
「おしっこの度換えるのでその都度赤ちゃんを見てやれる。
スキンシップは十分出来ましたよ。楽しかったです」
読売新聞が運営する投稿サイト「発言小町」には、布おむつ派の「よかった」「楽しかった」という意見が2008年3月~4月にかけていくつか書き込まれている。