人気漫画原作のミュージカルに出演予定だった17歳の男性タレントが、ミクシィなどに書いたことが叩かれ、舞台を降板した。所属事務所では、事実関係の一部を否定しているが、タレント側にも誤解を招くような書き込みがあったようだ。
喫煙や飲酒などを疑わせる写真
ミュージカル「テニスの王子様」の公式サイトには「キャスト変更」の告知文が掲載された
このタレントは、2008年5月24日放送の人気ドラマ「ごくせん」第6話にゲスト出演したことがある岡山外潤(そうる)さん(17)。岡山さんは7~9月、週刊少年ジャンプに連載された「テニスの王子様」原作の同名ミュージカルに、跡部景吾役として出演する予定だった。これは、主人公が対戦する学校のテニス部の部長という役柄だ。
ところが、ミクシィに書き込んだ日記に、喫煙や飲酒などを疑わせる写真があるとして、5月末ごろに2ちゃんねるなどネット上で騒ぎになった。ミュージカルを制作した会社や所属事務所にも苦情が寄せられ、岡山さんは6月4日付で今回の公演を降板することが決まった。
こうした疑惑は、本当だったのか。しかし、所属事務所クイーンズアベニューアルファのマネージャーは、J-CASTニュースの取材に対し、喫煙、飲酒は否定した。喫煙については、親が吸うタバコの箱を持っていた写真をアップしたと説明。高校の友人のブログに飲み会があったと書いてあったが、岡山さんは参加していなかったという。交際中の女性とラブホテルで撮ったとされたプリクラ写真は、家族同士で山梨県の小淵沢に旅行したとき、たまたま滞在するホテルで一緒に撮ったものだったとしている。
ただ、岡山さんは、公表される6月2日のジャンプ発売日前に交際女性に出演を漏らし、女性が5月23日に自らのブログに書いてしまったとした。18歳未満は入れないミクシィに生年月日を偽って入っていたとされたことは、退会したものの入会の事実は認めた。
プロデューサー「イメージに合わない」
岡山外潤さんの所属事務所マネージャーは、
「彼女に対してとはいえ、出演を漏らしたことは問題です。本人も深く反省しています。また、誤解されるような写真をネット上に載せたりしたことも、モラルの面で問題があります。ファンにとっては大切な役柄という重要さへの認識にも欠けていました」
と話す。岡山さんは当面、芸能活動を自粛し、演技のレッスンに励むという。
一方、ミュージカル「テニスの王子様」製作委員会の参加会社マーベラスエンターテイメントのプロデューサーは、岡山さんを降板させた理由をこう説明する。
「彼が『跡部景吾役にふさわしくない』というネット上のファンの声を考慮しました。大事なキーパーソンの役と考えており、彼がイメージに合わないということです」
喫煙などの事実関係やビジネスの約束事が破られたことだけを判断したわけではないという。「われわれは、夢をつくる仕事をしています。出演者にどこか欠けた人がいると、お客さまも夢を見られないことになります。その点を考え、総合的に判断しました」
所属事務所や製作委員会では6月4日、公式サイトで「テニスの王子様」ファンに今回の降板をお詫びする一文を掲載した。岡山さんも謝罪文を寄せている。代役については、無名でもフレッシュな人と交渉中だという。
今回の降板劇について、芸能評論家の肥留間正明さんは、こう語る。
「舞台はキャスティングする演出家のもので、気に入らないと俳優を降ろすことはよくあります。今回は、事務所が制作サイドに配慮して、タレントにきついことを言っているようですね。役者は、仕事を選べないつらい仕事で、本人は厳しさを学ぶ機会になったのでは。しかし、才能があれば、見捨てられずに引っ張られることはあるでしょう」