高級ブランドが売れない――百貨店の関係者からそんな声が上がっている。日本市場が世界で1、2位を占めるという高級ブランドにとっても深刻で、あの手この手でお客を取り込もうとしている。ついには値下げをするブランドまでも現れた。
「一般客」の購入が落ち込む
「高級ブランドの売り上げが落ち込んでいる」
そう話すのは、全国展開する老舗百貨店の担当者だ。一部の上得意客にはあまり変化が見られないが、大きなボリュームを占める「周辺の客」が減っているようだ。
「周辺客」とは特定のブランドにこだわらず、様々なブランドの商品を不定期に購入する層のことだ。1人あたりの購入金額は上得意客に比べて少ないが、客数が多いためにブランドの収益の大半を占めている。
高級ブランドから「周辺客」が離れている理由は、主に2つあるようだ。
生活必需品と異なり、一種の娯楽品である高級ブランドは株式の値上がりといった「不労所得」で購入する人が多いと、担当者は分析する。宝飾品や美術品も同様で、「2007年秋頃から株価の下落が続き、その動きと連動するように売り上げが落ちている」
さらにユーロ高により、この2~3年間でヨーロッパのブランド品が20%近く値上がりしていることも影響しているようだ。
全国の百貨店265店舗が所属している日本百貨店協会によると、こうした傾向は他の大手百貨店でも見られるという。三越日本橋本店(東京都中央区)の広報担当者は、「100万円以下の商品を購入する層の動きが鈍っている」と話している。
もっとも、伊勢丹新宿店(東京都新宿区)では「高級ブランドの売り上げは前年に比べてマイナスになっていない」としている。