需要が伸びる夏に向けて、牛乳が品薄になりそうだ。飼料価格の高騰で、酪農家の廃業が相次いでいるからだ。バターのように店頭から消える、という事態がやってくるのだろうか。
北海道を除く「都府県」で生産量が減少
酪農家の減少で牛乳が品薄になる可能性が……(写真はイメージ)
生乳生産者団体の中央酪農会議は、生乳の生産量が減少傾向にあると2008年5月29日に発表した。なかでも北海道を除く「都府県」で目立ち、4月は前年同月より2.6%減の342万5000トンだった。北海道は313万3000トンと3.1%増えているものの、そのほとんどが46都府県に振り分けられ、全体では十分とは言えない状況だ。
森永乳業ら大手乳業メーカーは牛乳の需要が伸びる夏を前に「内地にまわらなくなるのではないか」と危惧している。
生乳は、牛乳、チーズ、バターの順に分配される。生乳不足の影響をもっとも受けやすいバターは、3月頃から店頭から姿を消している。このまま生乳の生産量が減り続ければ、当然、牛乳にも影響すると見られている。
「7月から牛乳が不足するのではないか」
と、中央酪農会議の担当者は不安を隠さない。
学校給食がない8月は一時的に回復するものの、9~10月にも再度不足する可能性があるという。
「値上げ以外に解決策はない」
生乳不足の背景には、酪農家の減少がある。特に都府県では深刻で、08年4月は前年同月に比べて1029戸減った。中央酪農会議の担当者は
「飼料価格の高騰で酪農家は厳しい状況に置かれている。今後も飼料価格の値上がりは続くと見られ、ますます廃業するケースが増えるだろう」
と話す。
そんな中、酪農家の間では「値上げ以外に解決策はない」といった声も上がっている。4月1日から大手乳業メーカーは牛乳の価格を4~8%上げたが、さらなる値上げもありそうだ。
中央酪農会議の担当者は
「牛乳は新鮮さが命なので、輸入の生乳は使用できない。国内で生乳を生産できなくなると、牛乳が飲めなくなる。こうした現状を消費者に伝えていき、自身の問題として考えてもらいたい」
と話す。