給料上がらず物価高騰 1バレル200ドルで起こる「超貧乏」

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   レギュラーガソリンの店頭価格は1リットル220円にまで上昇、1世帯あたりの家計負担は年間7万5000円増加――これは国際原油価格が1バレル200ドルに達した場合に想定される家計への影響だ。2007年までは1バレル100ドルにも届かなかったのに、近い将来1バレル200ドルを突破するとの見方もここへ来て強まってきた。日本経済が第2の「オイルショック」に陥る可能性は強い。

1バレル200ドルだとガソリン1リットル210~220円

1バレル200ドルで石油産業も危機に?
1バレル200ドルで石油産業も危機に?

   原油取引の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格が08年5月22日に一時1バレル135ドルに達した。130ドルを突破するのは史上初めてで、1年前の2倍の水準にまで跳ね上がっている。

   2008年5月22日のウォール・ストリート・ジャーナルは、国際エネルギー機構(IEA)が世界の主要400油田を調査したところ、将来の原油供給は予想以上に伸び悩み、需要を満たすのは困難な状況になっていると報じている。また、同紙は

「ゴールドマンサックスの、今夏には1バレル最大140ドルまで上がり、09年は1バレル200ドルで推移するという予測が各紙の見出しを飾っている」

   とも報じており、「1バレル200ドル」は現実味を帯びてきている。また一部の国内企業でも200ドルを前提に中期経営計画を策定する企業も出現しているという。

   では、仮に1バレル200ドルに達した場合、国内経済にはどんな影響が出るのか。

「原油のコストアップがそのまま反映された場合、レギュラーガソリン1リットルあたりの小売価格は210~220円になると見られます」

   と話すのは日本エネルギー経済研究所・中東研究センターの担当者。

   石油連盟会長に就任した出光興産の天坊昭彦社長は2008年5月26日に、08年6月からガソリンなど石油製品の卸価格を1リットル当たり10円程度引き上げる見通しを明らかにしている。他の元売り各社も追随すると見られ、08年6月にはガソリンの店頭価格は170円を超えることがすでに濃厚。1バレル200ドルともなれば、これよりさらに50円ほどの値上げも予想され、企業や家計への影響は甚大だ。

   さらに、第一生命経済研究所は2008年5月23日に「原油200ドル/バレルの衝撃」と題した研究結果を発表。それによれば、2008年度末に1バレル200ドルに達した場合、ガソリン・軽油などの「石油製品」を筆頭に「電力」「都市ガス」「小売」「飲食店」などでの消費価格の値上げの影響を受け、1世帯あたりの年間の家計負担は7万4756円増加すると推計している。

「タイムラグを伴って甚大な悪影響を及ぼす可能性が高い」

   さらに1バレル200ドルは個人消費や設備投資を押し下げ、2009年度には実質GDPを1.0%、企業の経常利益を7.2%押し下げると予測。それに続く2010年度にも実質GDPを0.9%、経常利益は4.2%押し下げると予測している。「原油価格の上昇はマクロ経済全体で見ても、タイムラグを伴って甚大な悪影響を及ぼす可能性が高い」という分析だ。

「家計が約7万5000の負担増になるという分析は、あくまで原油価格が200ドルに達した場合のみを想定したものです。石炭や穀物の価格高騰は含まれておらず、実際の家計の負担はこれより増えるでしょう」

   第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏はJ-CASTニュースに対してこのように話す。

「オイルショックのときは物価も上がりましたが、給料も上がったので購買力という点では大きな悪影響はなかった。しかし、今回は物価の上昇に対して給料はそれほど上がっていない。先立つものがないため、物凄い節約を迫られることになります。節約が進めば、企業の売り上げが減るという悪循環が起こる。そういう点ではオイルショックのときより深刻です」

   資源自給率が低い日本が被る影響は世界の中でも大きく、日本経済が「原油インフレ」に苦しめられる可能性は強い。

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