過去には約5500万円詐取のショップも
収入印紙や切手は、精巧な偽造の場合、なかなか見抜けないものなのか。
日本の印紙や切手を印刷している国立印刷局では、「簡単に偽造できるものは作っていません」として、金券ショップなどが注意すれば見抜けると説明する。
「現物を見ていないのでよく分かりませんが、摘発されたということはそれほど精巧なものではなかったのではと思います。たとえ精巧に偽造されていたとしても、色がおかしかったりします」
金券ショップなどでつくる日本チケット商協同組合の伊集院浩二理事長は、組合員が引っかかる可能性については否定的だ。
「偽造鑑定講習会をしており、組合員には被害はないと思います。今は確かに印刷技術が発達していますが、プロが見れば分かります。ルーペ、紫外線のほか、磁気を使ったりして、印刷技術を判定します」
ただ、過去には、組合員ではないものの、偽造印紙事件に巻き込まれた金券ショップもある。東京・上野の「大黒屋」アメ横店では2006年7月4日、今回と同じ額面200円の偽造印紙約30万枚が持ち込まれ、約5500万円をだまし取られている。運転免許証を見せ、選挙関係者であると称していた。
偽造印紙を持ち込んだのは、韓国籍の男2人で、警視庁が07年4月25日に逮捕している。海外から取り寄せたとみられており、今回の事件と手口がよく似ている。この偽造印紙は、印刷の色がやや濃かったものの、紫外線を当てると発光する発覚防止策が施され、裏面ののり部分に繊維模様が印刷されているほど精巧だった。
大黒屋では、今回の事件については、被害の事実は確認していないという。そのうえで、「各店舗には、大量の持ち込みなら気を付けろと伝えてあります。店舗では、本物とよく見比べて買い取っています。今のところ大量の持ち込みがないので、被害はないと判断しています」と話す。
日本チケット商協同組合の伊集院理事長は、「こちらでも今、調査中です。過去に大黒屋さんのような被害例がありますので、組合員には注意喚起しています」と話している。