日本近海に分布するサンゴ礁。その多くは温暖な沖縄付近で見られ、もっとも北にあるのは鹿児島県・種子島と言われていた。ところが近年、さらに北方の長崎県壱岐島で発見され、新たなサンゴ礁探しが注目を浴びている。
壱岐のサンゴ礁1400年前から生息
「国際サンゴ礁年」は新たなサンゴ礁探しに意気込んでいる
「サンゴ礁」とはサンゴの成分の石灰質が積み重なり、海面近くまで高まってできる地形のことを指す。日本でもっとも北にあるのは、長崎県壱岐島から約20キロのところに位置するサンゴ礁だ。規模は約50メートル×50メートルとかなり大きい。国立環境研究所(茨城県つくば市)の主任研究員・山野博哉氏が地元の人から情報を得て本格的な調査を行った結果、サンゴ礁であると確認した。2001年のことだ。
壱岐のサンゴ礁を形成するのは、茶褐色の「キクメイシ」。付近の海水は最低時で13度。このサンゴの特徴は、そんな低い水温でも育つことだ。山野氏は、「成長速度は遅いが、冷たい海水にも強い」と話している。もちろん、種子島や沖縄に分布するサンゴとは異なる種類だ。
さらに調査の結果、壱岐のサンゴ礁は1400年前から生息していることがわかった。壱岐の西、湯ノ本湾のかなり奥まった場所にあるために目立たず、これまで見つからなかったようだ。