日本の湖沼の生態系を脅かす外来魚として、すっかり悪者のイメージが定着している「ブラックバス」。最近では、「意外とおいしい」とブラックバス料理の人気が高まっているほか、意外にヘルシーで、メタボ患者にもいいという結果も出ている。
「これまでに40種以上のブラックバス料理を考案してきた」
と話すのは、琵琶湖のある滋賀県庁の食堂の井上三郎支配人だ。2007年7月からブラックバスを食堂のメニューに掲げている。スタート時は1カ月限定メニューだったが、予想以上に反響が大きかったので続けることになった。
「パスタ」や「カレー」にもブラックバス
「ブロッコリーとにんにく醤油炒め」「醤油ペペロンチーノ」「ココナッツミルクカレー」「ムニエルトマトレモンソース」「和風ハンバーグ」「1口カツカレーライス」といった具合に、週替わりで毎月4~5のメニューが誕生する。
08年6月からはブラックバスの天ぷらと野菜を炒めた新メニューを始める。臭みがある魚だと言われているが、「塩でもみ洗いをした後に、しっかりと味付けをするとおいしく食べられる」という。
ここでは1日約20食、2キロ分のブラックバスが消費される。井上支配人によると、「スズキに似た味で意外とおいしい」と好評なようだ。
「琵琶湖のブラックバスを食べつくすまでやる」
井上支配人は新メニューの開発に意気込んでいる。
高タンパクで低脂肪、メタボ患者にもいい
滋賀県では新たな試みも始まっている。中日新聞08年5月22日号によると、滋賀医大医学部付属病院では入院患者の給食にブラックバス料理を出している。ほかの白身魚に比べて高タンパクで低脂肪、アミノ酸のタウリンが豊富で、病院関係者は「メタボリックシンドロームを気にする人にもお薦め」だと話しているようだ。ブラックバスはスズキの仲間なので、白身でどちらかといえば淡白な味。ヘルシーな材料として使われてもおかしくはない。
ブラックバスの正式名称は「オオクチバス」で、体長は15~50センチ。北米南西部原産だ。日本でもフィッシングには人気だが、古くからいる生物を食べ、生態系を壊していると問題視されている。
滋賀県水産課の担当者によると、07年度には541トンの外来魚(ブラックバス、ブルーギル)を捕獲したが、まだ1600トンが生息していると推測される。釣っても湖に戻す人が多いため、県では釣ったら食べる「キャッチ&イート」を呼びかけている。