中国・台湾、韓国など世界的に休漁の流れ
「漁業者側では魚の値段を自ら決められないのが現状で、現在は、量販店の価格形成力が強すぎます。量販店からすれば『値上げ凍結宣言!』といったキャッチフレーズでの売り方はあり得るのでしょうが、『採算割れでも価格を下げろ』というのでは、もう漁業者は生活できません」
その上で、今回の休漁措置は、価格に影響力を及ぼすための、いわば「強硬措置」であることを明かした。
「もう黙っていられません。今のやり方では、事業が成り立たなくなってしまう。今回の休漁措置で市場への供給量をしぼり、価格に反映させることを目指します。本来ならば『適正価格』というものがあるはずで、その水準まで戻したいです。『再生産』できる仕組みが重要だと思います」
国内だけでなく、世界的にも休漁の流れは加速している。世界10の国・地域のマグロ遠洋漁業団体でつくる「責任あるまぐろ漁業推進機構」(OPRT、東京都千代田区)は08年5月27日、「燃料価格の上昇は、経費節減の努力の限界を超えている一方で、燃料価格分を魚の値段に転嫁するのは困難」などとする声明を発表。声明では、中国・台湾では、一部の漁船が、すでに組織的な操業停止に入っていることを明らかにした上で、韓国も日本同様に追随するとの見方を示している。声明では
「遺憾ながら、天然刺身マグロの供給が減少する事態となることについて、消費者のご理解を願いたい」
としており、食卓に届くマグロの値上がりは避けられない情勢だ。