サービス残業や長時間労働につながりかねない
では、札幌商工会議所の調査で、サマータイム「賛成」が7~8割と高い割合を占めたのはなぜなのか。
同会議所では、調査対象が、呼びかけに賛同して実験に参加した企業の経営者や従業員であることを挙げる。さらに、導入目的としている地域経済活性化に役立つのではないかと企業が考えたことが大きいという。
アンケートでも、サマータイム賛成の理由として、企業業績の向上、消費支出の拡大を期待する声が寄せられている。「通勤の時間帯も涼しい時間に来られる」「仕事の効率化につながった」「余暇時間が活用できる」といった回答だ。
効果を見込んで、実験に参加する企業は、年々増えてきた。2004年は約200社、6000人の参加だったが、06年には約700社、3万人にも達した。さらに普及・啓蒙するため、その後も実験を継続している。
ただ、導入実験を通じて、課題も見えてきた。サマータイムでは、航空会社や金融機関などのシステムを変えなければならないが、そのコストが膨らむことだ。また、「(1時間早く起きると)仕事の開始、終了時に体調を崩しがちになる」「仕事が終わった後、何をしてよいか分からない」などとして反対する意見が出ている。
労働組合からも、懸念の声が上がっている。連合北海道札幌地区連合の事務局長は、「(北海道は緯度が高く)夏は本州より日の出が早いので、サマータイムの考え方自体は間違ったことではないと思います」としながらも、次のように指摘する。
「導入実験では、仕事の終わる時間が早まるか、明確に分かりません。導入によって、サービス残業とか長時間労働とかが過去にあったと聞いていますので、同じことが起こらないように担保するものが必要です」
内閣府の世論調査では、サマータイム反対と答えた人に、どのような条件なら賛成できるか、と聞いた。すると、「条件にかかわらず賛成できない」が28.7%と最多だったものの、続いて「省エネルギー効果,温室効果ガス削減が確実に見込めること」が24.2%,「労働時間の延長につながらないこと」が23.4%あった。