福島中央テレビのアナウンサーが盗用したことが発覚した自称証券マンのぐっちーさんのブログ。しかし「盗用された」このブログで、「捏造」があったと植草一秀元教授がブログで「暴露」している。盗用の「被害者」が、捏造の「加害者」だったとの憶測が一夜にして広まり、インターネット上で騒動になっている。
事件に巻き込まれて以降、連絡を取ったことはない
アルファブロガーの「捏造」を指摘した植草元教授
盗作騒動で話題になったのはブログ「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」。自称証券アナリストのぐっちーさんが書いているもので、2008年5月24日に福島中央テレビの大野修アナウンサーに盗用されていたことが明らかになった。
ぐっちーさんは同日昼に「ジャーナリストとして恥ずかしいとおもわんのか、ここまでぱくって。この記事には私しか絶対知りえない知識が入っており、ぱくりは明らか」と大野アナを声高に批判。同日夕方には、本人に連絡もせずに盗用した記事が同局のホームページから削除されたことに不満を示しつつ「そこまでやられたので徹底的に戦う事をここに宣言致します」とボルテージを上げていた。
福島中央テレビは08年5月26日に大野修アナウンサーを2か月の懲戒休職処分にすると発表し謝罪。ブログの盗用は、ぐっちーさんのブログとは別のブログにまでおよんでおり、15件に上ることも明らかになった。
しかし、事態は急展開する。08年5月25日に植草一秀元大学教授が自身のブログ「植草一秀の『知られざる真実』」のなかで、「捏造記事を掲載した」とぐっちーさんのブログにかみついたのである。
「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」の06年9月14日には、
「どうしたもんでしょう??やはり病気だったんでしょうか。こちらで植草擁護論をぶちあげ、東京地方裁判所にて証人に立ったぐっちーとしてはもうマカロニ状態ですな。(みんなにやめとけ、とかいわれたけど・・・)(中略)これから本人に会いに行ってきます」
と書かれており、翌9月15日には、
「植草君に会ってきました。(中略)今はあまり詳しくいえないんですが、やはり彼は相当世の中を甘く見ているかもしれない。前回の手鏡の時に、我々を含め、弁護団のとった作戦(あえて作戦と書く)はその行為、手鏡で覗くということが結果的になんら果実をもたらさないではないか、だいたい良く見えないぞ、そんな非合理な事をする訳がないではないか、というものでありました」
と綴っている。また、05年3月23日には「私は彼とは数年間酒を飲んだり、カラオケにいったり、キャバクラにもいったし、ずいぶん仲良くしていました。結構楽しい時間を過ごしたもんです」と明かし、ぐっちーさんと植草氏にはかなりの親交があったと推測できる内容になっている。
しかし、植草氏はぐっちーさんのイニシャルを「Y・M」と明かした上で、飲食店で何度か話をしたことがあった程度の仲と暴露している。
「私が2004年の事件に巻き込まれて以降、このY・M氏と連絡を取ったことは皆無である。もともと親しい付き合いをしていないのだから当然ではあるが。したがって、2006年9月14日にも当然私はY・M氏と面会していない。その後も、一度も会うことは無論、直接連絡を取ったことも一度もない」
と述べて、ぐっちーさんがブログで書いた内容を「捏造」と断じている。
植草氏はぐっちーことY・M氏に対して、ブログにおける虚偽記載の消去と今後、虚偽情報を記載しない確約を求める内容証明郵便を送付、植草氏の弁護人に対し電話口では明確に謝罪したことを聞いているが、未だに明確な謝罪がないと主張している。
「アルファブロガーへの信頼性が一気に失墜」
ちなみに、植草氏を支援している「植草氏を支援するブログ」では、植草氏の弁護士にぐっちーさんが面会したこともなく、証人に立った事実もないことを確認した、との記事を06年9月の時点で掲載している。
「盗用の被害者」が一晩で「捏造」をしていた加害者になってしまうかのような植草氏の指摘はネット上で大きな反響を呼び、「はてなブックマーク」では、200を超えるブックマークがついており、「これは本当だったらすげーびっくりだ!」「これなんてブーメラン?」「アルファブロガーへの信頼性が一気に失墜」といった書き込みが相次いでいる。また、経済学者の池田信夫さんも自身のブログで「(捏造が事実)だとすれば、彼のコラムを連載している『AERA』や、彼を匿名のままアルファブロガーと持ち上げた毎日新聞も、メディアとして失格だ」などと指摘している。
J-CASTニュースではぐっちーさんに「捏造」の指摘について、5月26日からコメントを求めているが、返事は来ていない。
一方で、5月27日にブログは更新され、「捏造」の指摘については特段言及せず、
「いづれにせよ、ひとつ痛烈に感じたことは、私はこのブログはてめーのもんでいつ何をやろうと、俺の勝手だろくらいに思っていたんですが、これだけの方の応援やお叱りが集まるとなると、その考えも変えないとまずいな、ということです」
などと述べている。