業績が悪いほど、低金利ですむ 銀行もア然の融資制度

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   銀行も驚く新しい融資が始まった。期限まで元金を返済しないですみ、しかも業績が悪いほど、低金利ですむという、従来の融資と考え方がまったく逆なのだ。ある地方銀行の幹部は、「最初聞いたときは、さすがにア然としました」とこぼすが、どうも背景には、いま金融検査中の「あの銀行」の存在があるようだ。

   バブル崩壊以前、金利分だけを払って元金を返済しない融資はめずらしくなかったが、その後は金融庁が不良債権処理に追われる銀行に「元利金とも、きちんと返してもらう」ことを徹底。勢い、それが貸し渋りや貸しはがしを招いて中小企業は相次いで倒産の憂き目にあった。金融庁は今回その方針を転換したともいえる。

10年目にして方針「転換」

金融庁の方針転換は新銀行東京の救済措置なのか
金融庁の方針転換は新銀行東京の救済措置なのか

   1999年、金融庁は銀行の立ち入り検査で使う「金融検査マニュアル」で、高度成長期からそれまで事実上黙認してきた、手形を書き換え続ける「コロガシ融資」や、金利分だけを払って元金の返済のない「根雪融資」を厳しく取り締まった。銀行が金融庁の締めつけに悲鳴をあげて、貸出先に元金の返済を強烈に求めるなど、いわゆる貸し渋りや貸しはがしが横行したのは、事実上の「資本」となっていた「根雪融資」を当局が認めなかったからだ。それを10年目にして「転換」した。

   2008年3月17日に改訂された金融検査マニュアルには、「十分な資本的性質が認められる借入金を資本とみなして査定する」ことが示されている。それを商品化した第1号が、政府系金融機関の中小企業金融公庫が発売した「挑戦支援資本強化特例制度」(資本的劣後ローン)だ。4月1日にスタートしたこの商品の融資金額は1社あたり2億円が上限で、総額は50億円。融資期間は最長15年で、期限に元金を一括返済する。つまり、最長15年は借入金を「資本」とみなすことができるわけだ。

   取り扱い開始から1か月。中小公庫は「案件はあがってきているが、審査に時間がかかるので、実績はまだ」という。希望する企業は、同公庫の新規事業育成貸付か企業再生貸付の審査基準を満たすことが必要で、民間金融機関は「実際に借りられる企業はかなりしぼられる」(東京都内の信金幹部)とみている。

   じつは、この融資制度の「ミソ」は金利にある。適用金利は年9.95%、年5.30%、年0.40%の3段階。融資実行後も1年ごとに事業の成功度合いを精査していき、それによって貸出金利も見直していくのだが、これまでの融資と考え方がまったく逆で、業績が悪いほど貸出金利が低くなるというのだ。中小公庫は、「多くの利益を上げている企業には多く配当してもらう、というのと似た考え。利息といっても、配当金のニュアンスに近い」と説明。これにはメガバンクの幹部も「(融資商品としては)考えられないスキーム」と、目を丸くする。

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