ワークスタイルの変革で「環境負荷」が減る
グリーンITの現在と未来 東大・江崎浩教授、日立・竹村哲夫氏対談

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省エネ化をライフサイクルで算出する基準づくりが必要

東大・江崎浩教授
東大・江崎浩教授

――東大のプロジェクトと言うのはどういう内容ですか?

江崎   今我々が手がけているのは、東大工学部の2号館を実験場としたプロジェクトです。このプロジェクトは、産学連携の共同研究開発コンソーシアムを組織して、センサーネットワークと制御ネットワークを統合した、先進的なファシリティマネージメントシステムを構築していくというものです。

   実はこれまでに、建物の省エネ化を、使用前・使用後できちんと計測したデータはありませんでした。そこで、このプロジェクトでは半年間をデータの蓄積に集中し、その後のフェーズで省エネ化した効果をデータとして取得する計画です。投資した額も明らかにした上でROIを出し、東大全体や地方自治体へ展開する際の指標にしていきたいと考えています。
竹村   最終的に製品を利用する現場でのエネルギーの省力化は、もちろん重要だと思います。しかしベンダーの立場から見ると、どこからどこまでのエネルギー量を対象とするかが、より大きな問題です。

   たとえば電力消費は非常に小さい製品があったとしても、製造の段階で膨大なエネルギーを消費していたら、トータルではCO2削減に貢献しません。また利用後の廃棄やリサイクルにかかるエネルギーも、必要な観点です。

   つまり温暖化ガス排出量をライフサイクルで考えて、数値化していくことが重要なのです。

   当社も含め、各ベンダーはこうした数値を発表していますが、今のところ算出方法の基準はありません。そのために、明確に比較ができないという問題があります。これについても「産学官」が一体となって基準作りを推し進めていくべきではないでしょうか。基準が浸透し、評価指標になることで、市場に競争原理が働くようになります。早い段階で、このサイクルが周りはじめるところまで進めていかないといけません。
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