皮膚科・眼科希望増え、麻酔科医が不足
特に高収入の麻酔科医は、完全なフリーランスの人も現れ始め、メディアで脚光を浴びるようになった。
毎日放送(大阪市)は、5月21日放送の番組で、勤務医時代に比べて収入が倍近くになったというフリー麻酔科医の男性を取り上げた。この男性医師は、掛け持ちした10か所以上の病院を飛び回る毎日。勤務は週4日だが、人手不足で緊急依頼も多く、休日も携帯電話を手放せない。「昼間でも時間関係なく手術が入ってくるんですよね」と男性医師。収入も倍になったが、仕事も倍になった。
なぜ麻酔科医がそれほど不足していて、引っ張りだこなのか。
医師紹介大手のメディカル・プリンシプルの広報担当者は、以前は外科医が代行する場合が多かったが、最近は麻酔科医の資格が求められるようになってきたことを挙げる。
さらに、麻酔科医のなり手がいない事情があるようだ。「登録者には、内科が一番多いのですが、外科や麻酔科よりも皮膚科や眼科の方が多いんですよ。当直業務もありませんし、人が死にません。産婦人科のように医療過誤の訴訟が増えているということもありません。つまり、手術のようなものは敬遠されつつあるということです」(広報担当者)。
ただ、完全なフリーランスは、まだごくまれにしか見られないという。メディカル・プリンシプルによると、登録医師は、時間のあるときに働く勤務医がほとんどだ、としている。
医療関係者の間では、非常勤やフリー医師は、必ずしも医師不足の解決策にはならない、と指摘する声も強い。常勤より非常勤の方がコスト高になることや、非常勤の場合、人数を多くしなければならず、不安定でもあるからだ。地方では、常勤が減ったために、閉鎖に追い込まれる病院も相次いでいる。