「請求した途端に、病院のことを悪く言いふらされる」
「獣医が泣き寝入りする場合がほとんどです」
そう話すのは、複数の相談を受けたことがあるという埼玉県獣医師会の担当者だ。獣医のなかには、弁護士を立てて未払い金を請求することもあるが、「珍しいケースだ」という。
「請求した途端に、病院のことを悪く言いふらされる」
そうなると、一種の客商売だけに、評判が悪くなるのを恐れて、強く出られないのだ。
それだけではない。未払いの飼い主に限って、劣悪な環境で飼育していることが多い。
「一番かわいそうなのはペットだ」。ある獣医は見かねて、「支払いはいいから、せめて飼育環境を改善してあげて欲しい」と懇願した。すると、その飼い主はあろうことか行政に「獣医の態度が悪い」と訴えた。
こうした実態があるにもかかわらず、未払い問題はほとんど公になっていない。
J-CASTニュースが獣医の大手団体「日本獣医師会」に問い合わせたところ、「そのような話は獣医から聞いていない」とだけ答えた。「日本小動物獣医師会」「日本動物病院福祉協会」も「知らない」の一点張りだった。
埼玉県獣医師会の担当者は、「獣医が我々に訴えてこない限り実態がつかめず、獣医師会で取り組むことはできない」と、嘆いている。